「一瞬の油断が命取り」 臨時国会28日召集、与党過半数割れでこれまでの風景一変
第2次石破茂内閣にとって初の本格的論戦の場となる第216臨時国会が28日、召集される。令和6年度補正予算案や政治資金規正法の再改正案の審議に加え「政治とカネ」の問題を巡る政治倫理審査会も開かれる見通し。先の衆院選を受け衆院の重要ポストを野党が務めるなど風景が一変した国会に少数与党で臨む自民、公明両党は厳しい国会運営を強いられる。 自民の森山裕、公明の西田実仁両幹事長は27日、東京都内で会談し、早期の補正予算案成立を目指す方針を確認した。同席した自民の坂本哲志国対委員長は記者団に「熟議ができる環境整備とできる限りの公開、一定の結論を出せる国会を実現しなければならない」と語った。 「熟議と公開」は野党側が求めるキーワードだ。立憲民主党の小川淳也幹事長は26日の記者会見で「与野党が国会のオープンな場でぶつかり、必要な妥協や修正が行われる国会にしたい」と強調していた。 少数与党となった自公は、衆院の委員長ポストの配分で野党に大きく譲歩した。先の衆院選で大敗し、野党の協力がなければ法案成立に必要な過半数に届かないためだ。 特に野党議員が委員長に就任した予算委員会は、補正予算案の審議に加え、首相や閣僚へのスキャンダルを追及する場にもなる。臨時国会では野党の質問に首相らが正面から答えない場合、委員長が再答弁を促すなど、野党に有利な環境となる公算が大きい。 自民の派閥パーティー収入不記載事件を巡っては、立民の野田佳彦代表が自民の旧安倍派元幹部らに予算委での証人喚問を求める可能性に言及した。平成6年には羽田孜内閣の与党が少数に陥り、借入金問題を巡る細川護熙元首相の証人喚問を、野党の社会党の予算委員長が認めた。 閣僚の多くが10月の第1次石破内閣発足で初入閣し、国会答弁への不安もくすぶる。首相周辺は「一瞬の油断が命取りとなる国会になる」と語った。(永井大輔)