加害者へ113件 被害者の「心情伝達制度」1年 謝罪きっかけも
犯罪被害者の心情を刑務所や少年院の職員が聞き取り、加害者に伝える「心情等伝達制度」について、法務省は20日、昨年12月の制度開始から1年間で136件の被害者からの申し出を受け付けたと発表した。このうち122件で心情の聞き取りを終え、113件は加害者に伝達した。利用がきっかけで面会したケースもあった。 【動画】「俺のこと憎んでも…」 娘を殺した男から遺族に届いた謝罪と暴言 制度は、被害の実情を加害者に直視させ、刑務所などでの指導に生かすことが目的。被害者本人や遺族が、施設に利用を申し出ることができる。施設の職員が被害者の心情を聞き取り、その内容を加害者に伝える。 被害者からの聞き取りでは「謝罪をしてほしい」「被害弁済をしてほしい」といった内容のほか、「施設で何を考え、何を学んでいるのか知りたい」など加害者の現状を問うものも多かった。一方、「一生許すことはできない」「地元に帰ってきてほしくない」と強い被害感情を訴えるケースもあった。 加害者の中には「考えていた以上の被害の深刻さに気づいた」などと謝罪や弁償の意思を示すケースがあったという。担当者は、一部には反省の態度がない加害者もいるとした上で、「自分が起こした事件の被害者の生の声は、加害者にとっても大きな影響があると感じている」と分析した。(久保田一道)
朝日新聞社