「自民党解体論」保守改革の旗手、田中秀征・元経済企画庁長官の憂国 倉重篤郎
「簡単なことだ。党の責任で自民議員全体にアンケート調査することだ。第一に、『裏金問題を知っていたか否か』、第二に、知っていたとすれば『その違法性を認識していたか否か』、第三に『それに関与していたか否か』。もし違法性を認識していなかったと回答した人がいれば、次の選挙では落選だ。国会議員なのに法律も読めない、となる」 自民も調査したが、違法性の認識は聞いていない。 「正攻法の攻め方をすべきだ。それを皆知りたい。有権者は、自分の選挙区の自民議員しか見てない。全員を調べて公表すればいい。党の処分とは別に、事実関係を詳(つまび)らかにして、有権者に判断を委ねればいい。自民党が調査しないなら、メディアがやるべきだった」 その他やるべきことは? 「政治資金の『出』の規制だ。今議論されているのは『入り』の規制ばかりだ。政治資金名目で集めながら一体何に使っているのか。使途をもっときちんと調べ、必要ないものは落としていく。例えば、会食費だ。膨大な額を使っている。この際政治資金をきちんと定義づけ、政治資金による会食は違法とすべきではないか。会食費は自分の所得から出すか、会費制にする。会食費と慶弔電報をやめるだけでも大変な効果だ」 企業・団体献金、今回バッサリやめてしまう手も? 「自民党には本当に困ることだが、それをやらなければ政権明け渡しというところまできている」 50年前の著作では「自民党という衣服は、政治資金という一本の糸だけで縫い合わされている。この糸に異変が起きれば、さしもの巨大な衣服も一挙に解体を余儀なくされてしまう」と書いている。企業・団体献金の禁止はまさに自民党解体につながるのでは? 「当時と違うのは、政党助成金や政策秘書制度が導入されるなど、政治家の立法活動を支援する周辺体制が整備されたことだ。政治資金が少なくてもやっていける体制になっている」 金だけが問題ではない? 「政治家はもっと清潔にしろという民意はあるが、今回はそれで済む話ではない。根本にあるのはリーダー不在論だ。政権与党を張っているのに、時務を果たせる優れた指導者が出てこない。それに対する国民の不満と怒りが今の低支持率につながっている」