「自民党解体論」保守改革の旗手、田中秀征・元経済企画庁長官の憂国 倉重篤郎
この自民党の行き詰まり打開には、もはや思い切った解体的出直ししかないのではないか。岸田首相も「解体的な出直しを図り、信頼回復に向けた取り組みを進めなければならない」との認識を見せた(1月31日の衆院本会議答弁)のに、言行不一致が続いている。 今回田中秀征・元経企庁長官に登場いただくのは以下の理由がある。何よりも田中氏は、半世紀前の1974年、『自民党解体論―責任勢力の再建のために』という書を世に問い、政権政党としての自民党の構造と体質を徹底的に分析、同党が企業との癒着、世襲化、惰性の政治、構造的凋落(ちょうらく)から抜け出るには解体的再生しかないとして、新人、若手に自民党解体の斧(おの)になれと訴えた人物である。その指摘のほとんどが今の自民党に当てはまるとして、4月にそのままのタイトル、中身で新装復刻(旬報社刊)されている。 ◇根本にあるのはリーダー不在論 田中氏は93年には自民党を離党、新党さきがけの理論的指導者として細川護熙(もりひろ)非自民、村山富市自社さ、という二つの連立政権の中枢に位置し、外から自民党に体質改善を求めてもきた。理論、実践両面で自民党と真正面から向き合ってきた氏が岸田政権の置かれた現状をどう見るか? 「国民世論とのミスマッチがある。政治資金規正法改正案を自民単独で出したが、一般の人は関心ない。中身の不十分さもさることながら、裏金問題の実態が未解明だ、という人が90%台だ。調査してないからどうせろくなことはできないと見られている。岸田氏が党首としてどう責任を取るかという関心事に対しても回答がない。ざわざわしていて、何をやってんだかという感じだ。そこが岸田氏も自民党もわからない」 執行部の危機感不足? 「こういうことになると、執行部というより一人一人の問題になる。次の選挙で当選できるかどうか、自分だけでも何とか切り抜けたいと思うものだ」 どうすれば良かった?