米メディア「日本の自動車メーカーは方向を見失い、漂流している」
2024年10月に東京とパリで自動車見本市が開催された。日本の自動車メーカーに対する評価は厳しく、米メディアは「方向を見失い漂流している」と酷評した。そこには、かつて日本が電気自動車でリードしていたが故にもどかしさも感じられる。 【画像】トヨタは非常時に家庭用として使える水素カートリッジを発表した
未来を見つめているのは日本、それともフランス?
2024年は東京とフランスのパリで自動車見本市が開催された。この2つのイベントにまつわる話題は、未来への備えがより万全なのはどちらかという点で、意外な結論を導き出している。 フランスと日本はいずれもデザインで世界をリードする存在だ。ただ、最新のファッションに乗り遅れたくないなら、パリはトレンド発信地として見逃せず、東京はいわば辺境の地だ。自動車の世界も状況は似ている。 10月に開催された世界最大級の自動車見本市「パリ・モーターショー」は、欧州自動車業界が対外関税を後ろ盾に、手頃な価格かつ革新的な中国製電気自動車(EV)の輸入車に対抗する力をお披露目する機会となった。そのうわさは地球の裏側まで届いた。 自動車大手の仏ルノー、欧州ステランティス、独フォルクスワーゲン(VW)はいずれも、2万5000ユーロ(約400万円)前後と競争力のある価格帯の新型EVを発表すると予告した。こじゃれた奇抜なデザインは、ますます「ポスト・車」時代に向かっているような欧州人でも興味をかきたてられるかもしれない。 同じ時期に日本の自動車業界が見本市を開催していたという事実は、まばたきをしていたら見逃してしまったかもしれない。さらに言えば、EV革命などまったく起きていないと思われても仕方がない。 2024年の「ジャパンモビリティショー」で展示された普通乗用車のEVは、日産自動車が5年前に初公開し、2022年から販売している「アリア」のみだった。トヨタ自動車とホンダが水素を動力源とする車両2台を展示(トヨタは非常時に家庭用として使える水素カートリッジも発表)したほか、バイオ燃料を利用できるモデル3つが紹介されていた。 この選択は著しく現実離れしているように思える。現在、全世界で販売されるバッテリーEV(BEV)の台数は、わずか3日間で、水素自動車が市場に投入されて以来9年間で売り上げた合計9万762台にほぼ匹敵するのだ。
David Fickling