「森保監督の“逆質問”じつは割とよくある」日本代表発表会見の舞台ウラ「FW古橋亨梧とDF渡辺剛の落選が続いたのは…」取材記者が考察
では、DF渡辺の場合は?
では3月の北朝鮮戦以来、声がかかっていない渡辺の場合はどうだろうか。 渡辺が日常を過ごすリーグレベルや市場評価額(ベルギーはUEFAランキングで8位。日本人全体では16位)は、世界のスタンダードから見れば、高く評価されている。ではなぜ、未招集が続いているのか。 彼の場合、フィジカル面でのパフォーマンスレベルが課題にありそうだ。 186cmの長身DFである渡辺はリーグ戦でフルタイム出場を続けている。「守備のデュエル総数」は20位タイだが、「90分平均の守備デュエル数」「守備デュエル勝率」ではトップ30に入っていない。さらに「デュエル総数」「90分平均」でもトップ30に入らない。空中戦勝率では10位だが、町田浩樹(サンジロワーズ)は9位、そして実は同項目で首位に立つ藤井陽也(KVコルトレイク)との比較要素となり得る。 日本代表においてはアジアカップのインドネシア戦終盤、相手のロングスローに対して、渡辺はマークについていた196cmのエルカン・バゴットにフリーで競るのを許し、こぼれ球から失点を喫した。それもネックになっている可能性がある。 あるいは、“これまでの”渡辺が積極的に発言するタイプではないことも関係しているのかもしれない。日本代表は選手の意見交換をもとにして、攻守の戦い方を整理している。現在はケガで戦列を離れている中山雄太(FC町田ゼルビア)などは、試合2日前の練習で先発ではないとわかったとしても、自分が試合に出るかのように準備を続け、そこで考えたことを言葉にして発信してきた。そういった面を“総合的に”見ていくと、まだ渡辺のアピールが弱いのかもしれない。 とはいえ、今シーズンは所属するヘントではキャプテンマークを巻く試合が出ている。そのあたりの精神的な成長や、未招集の時期が渡辺をたくましくしてくれるのか。そこは今後が楽しみだ。
じつは、森保監督が質問で返すことは割とよくある
そんなことを考えながら、筆者は会見後、記者会見場に残って急ぎの原稿を書いていた。終了からだいたい20分ほど経ったころだろうか。左後方から声をかけてくる人がいた。振り向くと、会見終了後にその場を後にしていた森保監督だった。 冒頭の逆質問を受けたのは筆者だけではなかった。 別の記者から「上田選手がいない中での戦い方はどうなりそうですか? また、フォワードの選手に求めるものは?」という質問が飛んだところ、森保監督は「どう変わると思いますか?」と聞き返しつつ、その記者の返答を受けて、森保監督は「すみません」と切り出し、こう語った。 「悪意があって質問し返しているのではなくて。いろいろなことをより共有できるかなと思って。みなさんからは何を質問されても良いと思っていますし、何か考え方を持ってぶつけてもらった方が私も答えやすいので、お二方には逆質問をさせてもらいましたけど……」 じつは、森保監督が質問で返すことは割とよくあることで、今回だけではない。筆者もそれをわかっているから、いつ聞き返されても良いように事前に準備している。それだけに、動画などで話題になったのは意外でもあるのだが――。 森保監督から呼びかけられたシーンについて、話を戻そう。 「先ほどの件なのですが、(渡辺)剛の件は、逆に誰が入っているのが不思議だと考えているということですか? もし、私が見落としているところがあれば……」 森保監督は、自身が見落としている見方やデータなどがあるかを意見交換したかったようだ。そこで筆者は前述した古橋、渡辺らについての考察を話した(憶測を立てないために記すが、招集外の理由を筆者にだけ伝えるということはなかった)。あとは逆質問の際に会場から笑いが起こったため、悪意があったわけではないと再度伝えたかったのだろう。 「また何かあれば、今回みたいに色々な考えを聞かせてもらいながら……」
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