ミラノベストの「ボッテガ・ヴェネタ」 無邪気な子どもの冒険心をノアの方舟に乗せて
「素材の魔術師」と呼ばれるマチューの才能と、洋服のまだ見ぬ可能性を信じるケリングのアティチュードは、洋服を次の次元へと押し上げる。総スパンコールに見えるドレスは、光沢ある塗料を吹き付けたレザーに少しずつハサミを入れ、無数の突起作って生み出したもの。リネンのニットとセットアップに見えるスカートは、シルクの紐をニットのように編み、グラデーションで染めたものだ。もちろん、従来通りコットンに見えるレザーや、イントレチャートが有名なブランドゆえのジャカードも多用。これまでより装飾少ない実用性も兼ね備えたコレクションながら、見るものを飽きさせない。
マチューは、「私たちは、優しく愛らしいものの中に、力強さを見出すことができるだろうか?大胆不敵な魅力に、厳格な正確さをぶつけることは可能だろうか?あなたの中にある子ども心は、何を望むのだろう?私は今一度、ファッションの持つ根源的な魅力を、そして見ること、発見すること、装うことの喜びといった思春期の心躍る感覚を味わいたい。WOW!という驚きや喜びに満ちた力だ」と話す。「ボッテガ・ヴェネタ」を含むケリングのブランド群は現在、営業利益を大きく落とすなど、ある意味転換期を迎えている。マチューの、子どものように無邪気に洋服の未来にワクワクする気持ちと、このブランドならではの圧倒的なクラフツマンシップが状況を好転させる契機になることを願ってやまない。