大の里「一日も早く上へ」 目指すは「横綱4代」 新たな後援会「大関を励ます会」発足
大相撲の新大関大の里（24）に新たな後援会「大関を励ます会」が29日、発足した。一堂に会する初会合が東京都内で開かれ、昇進を祝う会が催された。日本大相撲溜（たまり）会の山本道広会長（86）が会長に就き、発起人として野火止クリニック（埼玉県新座市）の増渕和夫理事長（77）らが名を連ねた。師匠の二所ノ関親方（元横綱稀勢の里）とともに出席した大の里はサンケイスポーツの単独取材に応じ、驚異のスピード出世にも歩みを止めない気概を見せた。 【写真】父・中村知幸さん、母・朋子さん、妹・葵さんらと万歳で優勝を祝う大の里 突き抜けていく男は、目先のことばかりにとらわれない。大の里は将来や大局を洞察していた。 幕下10枚目格付け出しの初土俵から1年半足らず。所要9場所での大関昇進は羽黒山、ともに幕下付け出しの豊山と雅山の12場所を抜く昭和以降最速記録。新入幕からのスピード出世、三役通過、負け越しがない大関昇進…。だが、学生相撲（日体大）出身の大の里は時間軸を持っている。 「大学の4年間を無駄にはしてこなかったが、22、23歳で大関になっている力士もたくさんいる。中卒、高卒よりは（現役の）時間は短い。チンタラ、チンタラしている暇はない。一日も早く上（横綱）へいくつもりで頑張りたい」 秋場所では得意の右差しにこだわらず、182キロの巨体をぶつけ、左おっつけにも新境地を開いた。それでも「まだ型にこだわる時期ではない。やってきたことを精いっぱい出し切ることを考えている」とした。 11月の九州場所（10日初日、福岡国際センター）では「大関に恥じない相撲を取りたい」。秋場所10日目に対戦した元大関の関脇霧島は立ち合いに変化したが、7歳から相撲を始めた大の里はここまでの相撲人生でただの一度も立ち合いで注文をつけたことはないという。「考えたこともない。やったこともない。これからも考えない」と正攻法を貫いていく。 二所ノ関親方の師匠は亡くなった元鳴戸親方（元横綱隆の里）。同親方の師匠は「土俵の鬼」といわれた元横綱初代若乃花。大の里が頂点に立てば、師匠筋で一本につながる例を見ない「横綱4代」が実現する。二所ノ関親方は「大の里の場合はここからが始まり。記録もあるが、結果を出すことが大事だ」。極みを探す旅は、出発したばかりだ。（奥村展也） ■大の里 泰輝（おおのさと・だいき＝本名・中村泰輝）
平成12年6月7日生まれ、24歳。石川県津幡町出身、二所ノ関部屋。7歳から相撲を始め、新潟・海洋高から進んだ日体大の1年で学生横綱。3、4年で2年連続アマチュア横綱。令和5年夏場所に幕下10枚目格付け出しで初土俵。同年秋場所新十両。令和6年初場所新入幕。新小結の同年夏場所で初優勝。優勝2回。殊勲賞2回、敢闘賞3回、技能賞3回。得意は突き、押し、右四つ、寄り。幼少からプロ野球・阪神の大ファン。192センチ、182キロ。
