第2次エディー・ジャパン1年目は痛みを伴うも、ジョーンズHCはRWC2027に自信あり!
ラグビー日本代表にとって、まさに生みの苦しみを味わう1年となった。11月26日、『リポビタンDツアー2024』ヨーロッパ遠征総括のメディアブリーフィングが実施された。帰国したばかりの永友洋司日本代表チームディレクター(TD)とエディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチ(HC)が羽田空港で約1か月間にわたる欧州遠征を振り返った。 【全ての写真】ラグビー日本代表のエディー・ジョーンズHC 永友TD「欧州遠征が無事終了した。まず選手を派遣してくれたクラブに感謝を申し上げたい。今後はJRFU(日本ラグビーフットボール協会)、JRLO(ジャパンラグビーリーグワン)、大学としっかりお互いの意見を尊重し話し合いながら、強化をしていかないといけないと感じたシリーズだった」 ジョーンズHC「ジャパンとしての1年が本日終了した。我々は新たにスタートしたが、我々のターゲットが『ラグビーワールドカップ(RWC)2027』であることに変わりない。1年戦って明らかであるのは世界のトップ4と我々の間にはギャップがあるということ。しかし今年20名の選手がジャパンのキャップを得た。結果は悔しく思っているが、我々の現状、ギャップを感じられたのはポジティブなこと。このギャップを埋めるためにはハードワークをしなければならないし、粘り強く立ち向かわないといけない。我々のセレクションの一貫性が求められる。『RWC』では600~700キャップほどの経験が必要になるが、今のチームは200キャップ程度と経験が浅く結果に失望することになった。今年の世界のトレンドを振り返ると、欧州ではブレイクダウンでのインテンシティや激しさ、空中戦の激しさがとても重要性を高めて、私たちの課題となった。私たちは残り3年間でチームを成長させる自信があるし、楽しみにしている」 来年の強化のポイントを問われたジョーンズHCはこのように返答した。 「大きく変えることはない。うまくいっているところを強調する。80分間自分たちの強みを出す。ジャパンはベストアタッキングチームになれるという自信があるし、トップ4とも十分にやり合う自信がある。アタックが良くなれば、自ずとディフェンスも良くなると思っている。ただハンドリングエラーが多いので、自ずと相手にチャンスを与えてしまっているので、改善は必要」 指揮官はディフェンスを立て直すために、選手たちがニュージーランド戦での64失点、フランス戦での52失点、イングランド戦での59失点という痛みを忘れないことが必要だと述べた。 「我々はディフェンスでプレッシャーが掛かってしまう。アンストラクチャーで相手にボールを渡したシーンが多いので、そこは修正が必要。アンストラクチャーのディフェンスを修正するには良い判断が必要。またセットピースでのディフェンスでは良いところもあれば、悪いところもあった。セットピースの修正方法は唯一経験を積むこと。セットピースのプレッシャーはリーグワンではなく、テストマッチでしか経験できない。選手たちがハードワークを重ねて、ハードな経験を重ねていくしかない。イングランド戦は必要な経験であり、50点差で負けるのも我々に必要な経験と言える。今後選手たちが早く学ぶことができるか。リーグワンに戻っても、選手たちにはテストラグビーのインテンシティで毎週毎週トレーニングを積み、試合に取り組んでほしい」 具体的なセットピースの課題はこうだ。 「イタリア戦とイングランド戦の我々のセットピースはひどかったが、フランス戦とニュージーランド戦では素晴らしいものがあった。イタリアやイングランドのようにスマートな形のセットピースに経験不足な我々ではうまく順応できなかった。(イングランド代表のPR)エリス・ゲンジと試合後話したが、彼は70キャップあり、(トイメンの)竹内(柊平)は10数キャップ。『幼稚園児とスクラムを組んでいるようなものだ』と言っていた。ここは経験で学びを得るしかない。竹内は今後この経験を生かしてリーグワンで学び、成長していく選手。経験値を得るためにはハードワークを続けるしかない。 セットピースでは基礎の部分、順応する部分で成長しないといけない。為房(慶次朗)はジャパンで10キャップ、クボタ(スピアーズ船橋・東京ベイ)では5キャップしかない。今は大きな投資をしている時期。『RWC』まで40キャップを得られれば。みなさんが結果を残念に思っているのは理解している。ただ我々は未来に投資しているところ。投資には大きな痛みは伴う」 若手の経験とテストマッチの結果の両立について問われると。 「もちろんテストラグビーに勝つために挑んでいる。だが、勝つために負けることも必要。現状、同等や格下には勝つが、格上には勝てない。ただ、これは2019年から存在していた問題。『どうすれば格上に勝てるか』をずっと議論している。明日勝ちたいが、その勝利が1年後か、2年後か、3年後か、『RWC』かはわからない。格上とのギャップを埋めるために一歩進めていると思うし、日本ラグビー界全体で取り組んでいかないといけない問題だと考えている」