「匿名いじめ通報アプリ」から見える子どもの実態 約36万人がスマホやGIGA端末にインストール
1286校が利用している「いじめ対策アプリ」のルーツとは?
文科省「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」では、いじめの認知件数、重大事態件数ともに過去最多となった。こうした中、事業を通じていじめの防止や早期発見・早期対応に取り組んでいるのが、スタンドバイ代表取締役の谷山大三郎氏だ。匿名でいじめの報告や相談ができる同社のアプリは現在、33の自治体が導入しているが、どのような成果が出ているのだろうか。テクノロジーを活用したいじめ対策の現場からは、子どもたちのリアルな姿も見えてくる。 【画像】匿名でいじめを報告・相談できるアプリの仕組みとは?(図) いじめの認知件数や重大事態件数が過去最多となる中、児童生徒の声なき声を拾い上げるツールとして教育現場で活用が広がりつつあるアプリがある。匿名かつチャットでいじめの報告や相談ができる「STANDBY」だ。現在、33の自治体が導入しており、私立校を含め1286校が利用している。自治体は教育委員会が主体となって導入するケースがほとんどだが、2023年度は、北海道旭川市、大阪府八尾市、三重県伊勢市の市長部局が、こども家庭庁の実証事業の枠組みで導入した。 そんないじめ対策アプリはどのようにして生まれたのだろうか。 スタンドバイの創業者である谷山大三郎氏は大学時代、教員を目指していたものの教員採用試験に不合格となり、卒業後はリクルートに入社。しかし、子どもと関わる仕事がしたいという思いを捨てきれず、学生時代に働いていたNPO法人企業教育研究会に転職して教育現場に携わるほか、母校の千葉大学で非常勤講師を務めるようになった。 その仕事の中で海外の教育サービスを調べているうち、雑誌でいじめ対策アプリの「STOPit(ストップイット)」がアメリカで広まっていることを知る。「これで日本のいじめ問題も解決するのでは」と思った谷山氏はいてもたってもいられなくなり、先方にコンタクトを取って単身渡米。直談判の末、2015年にSTOPitの日本代理店となり、2016年にサービスの提供をスタートした。