Lucky Kilimanjaro・熊木幸丸インタビュー「今やりたいことはすぐにやらないと」
――バンドで演奏することで思ってもみなかった変化が生まれることも? それを含めておもしろいのかなと。そもそも曲を作ってるときも、設計図通りに進めているわけではなくて。リズムの質感やスピード感は頭のなかにありますけど、最終的には違うものになりますし、イメージ通りのものだと楽しくないんですよ(笑)。「自分のなかにあるものだけでできちゃったな」という感じがしますし、それをやっても飽きてしまう気がして。「プラスアルファの何かが自分から生まれた」という喜びがモチベーションのひとつになっているし、それを追い求めることが大事なんだと思います。「実感」もそう。シンセの使い方や置き方も今までとは全然違うし、歌い方、サウンドデザインを含めて、これまでとは違うものができたので。 ――それを続けることでバンドのイメージも変わっていく、と。 そうですね。バンドも人間も生ものですし、変化を味わいながら、それをどう拡張して再編成していくか。そういうところが楽しくてやっているんだと思います。 ――カップリング曲の「次の朝」についても聞かせてください。“いろんなことがあるけど、必ず次の朝は来る。踊り続けよう”というメッセージは、まさにラッキリの本質だなと。 「実感」と同じ時期に書いてるのでテーマはある程度つながっていて。いかに踊り続けるか、「特に理由もなく踊るんでしょ?」という歌詞なんですけど、わざわざ説明することもないのかなって(笑)。 ――確かに(笑)。 次の朝も踊るし、また日々が続く。それ以上のことは特にないんですよ(笑)。最初に話したX(旧Twitter)のポストもそうですけど、(歌詞を通して)そんなにたくさんのことは言ってなくて。要は「踊ろうね」ということをいろいろな角度から歌ってるだけなんです。「次の朝」はその極地というか、「僕らの音楽、こういうことだから」という曲かもしれないですね。 ――この後はライブが続きます。まずは4月21日に東京・日比谷野外大音楽堂でワンマンライブ「Lucky Kilimanjaro YAON DANCERS 2024 supported by ジャックダニエル」を開催。 2021年の4月に日比谷野音でワンマンライブをやらせていただいて。そのときの感覚がすごく残ってるんですよね。コロナ禍だったんですけど、日比谷に集まって、森のなかでみんなで踊った経験がバンドの糧になってる気がして。またあの場所でやりたいとずっと思ってたんです。まさに都会のオアシス的な場所ですし、踊るということがさらにはっきり浮かび上がるというか。 ――10周年のアニバーサリー的な意味もある? 応援してくれてる人たちへの感謝もありつつですけど、さっき言ったように10周年なんてまだまだ新人ですし、野音は「ここから10年、こんなふうにやっていきます」という提案の場でもあると思っていて。6月からのツアー(全国ツアー「Lucky Kilimanjaro presents. 自由 “10” に踊ろう TOUR」)もそうですけど、これまでの総括というより挑戦の方が強いです。今回から導入する機材でたくさんあるんですよ。 ――メンバーのみなさんとも「サウンドを変えていこう」という話をしてるんですか? そこに関しては常に話をしていて。「もっとこうしたほうがいいよね」という会話はいつもしていますし、自然の流れのなかで変わっていくという感じですね。次のツアーのなかでも変化していくんじゃないかなと。 ――ステージに立って演奏することに対する意識も時期によって変化している? そうですね。以前はいかに自分たちを見せるかというところが強かったんですけど、だんだんお客さんとの相乗効果が生まれていて。皆さんから受け取るものもたくさんありますし、そういう相互作用のなかでその日の空気を作っていくというか。インタラクティブな楽しさがあると思います、今は。 ――オーディエンスの“踊りたい”という気持ちも強まってるのかも。 それは前提というか、「踊りたくて来てくれてるんでしょ?」という信頼があるんですよね。もちろん「踊ったことがない」「ダンスミュージックをあまり聴いたことがない」という人もいるし、そういう人に向けてどういう音楽を届けるか?ということもずっと考えているんですけど、ライブではみんな自由に踊ってくれているし、それが新しいお客さんにも伝播して。そういう景色を見ることで僕らの演奏も変わってきますからね。 ――ツアーもめちゃくちゃ楽しみです。この後の10年のビジョン、成し遂げたいことは? 正直、ビジョンみたいなものは全然ないんですよね。「こういう音で踊らせたい」「こんな空気を作りたい」というのありますし、そういう意味でやりたいことはたくさんあるんですけど。単純に「今、これおもしろい」ということを続けていれば10年経ってると思ってますね。 Text:森朋之 <配信情報> Lucky Kilimanjaro デジタルシングル『実感』 4月24日(水) 配信リリース 【収録曲】 1. 実感 2. 次の朝 <ツアー情報> 『Lucky Kilimanjaro presents.自由“10”に踊ろう TOUR』 6月8日(土) 大阪・大阪城音楽堂 6月14日(金) 北海道・Zepp Sapporo 6月16日(日) 宮城・SENDAI PIT 6月22日(土) 石川・EIGHT HALL 7月6日(土) 広島・CLUB QUATTRO 7月7日(日) 福岡・Zepp Fukuoka 7月12日(金) 愛知・Zepp Nagoya 7月15日(月・祝) 新潟・NIIGATA LOTS 7月20日(土) 東京・Zepp DiverCity 『Lucky Kilimanjaro presents. TOUR “YAMAODORI 2024 to 2025”』 2025年2月16日(日) 幕張メッセ国際展示場 4・5ホール
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