【ラグビー】「母校が弱いって、嫌」。指導者を目指す武者大輔、いまはタックルで釜石を盛り上げる。
33歳だ。選手として残された日数は、それほど多くないのかもしれない。そう、笑いながら言う。 「毎年、最後になってもいいと考えてやっています。いつが終わりになるかわからないので、観にきておいた方がいいかな、と思いますよ!」 将来は指導者になりたい。ダイナボアーズ時代からしていた母校の法大でのスポットコーチを、今年もシーウェイブスのプレシーズン前に務めた。平日は早朝に目を覚まし、家族と暮らす相模原の家から東京都町田市内のグラウンドまで車を走らせた。 「何ができたのかと言うと、ちょっとした手助けしかできていないです。年間を通してフルタイムで見ているわけではないので、ディフェンスのシステムを変えることなどはできない。ただ、あるシステムのなかでどんなスキルを使った方がいいかは教えられる。あとは一緒に練習も」 いずれは、法大を束ねて勝たせる立場に就きたい。 「もちろん段階というものがある。学生の大事な4年間を引き受けるにあたっては、コーチング経験がないままいきなり…というのは、ない、と思っている。でも、いずれ、やりたいです」 自身が入学する1シーズン前はSHの日和佐篤(現・コベルコ神戸スティーラーズ)、SOの文字隆也(現・トヨタヴェルブリッツ採用)を軸に全国4強入り。その2人のラストイヤーから法大にいた武者は、古豪復活へ思いを募らせる。 「やっぱ、母校が弱いって、嫌じゃないですか。僕がいた時も決して強かったわけではないですけど、その片鱗が見られた頃にいたので『強かった法政って、こういう感じだな』をある程度はわかっているつもり。厳しいことを言える間柄になる、その空気感を作っていかなきゃいけない」 まずは現役生活を全うする。12月10日の今季開幕節は、ホスト会場の岩手・釜石鵜住居復興スタジアムで迎える。豊田自動織機シャトルズとの一戦で、インパクト抜群のタックルを繰り出したい。 (文:向 風見也)