「死んだ後に角膜を提供しますか?」 医師が問いかける〝献眼〟 回答は免許証の裏側に
声かけで思い出した亡き父の意思
4年間で149人の遺族に声をかけ、23人が提供をした。広島県の提供者の約3割が福井医師の患者が占めている。その一人、提供をした河本武彦さんは、最期の時を自宅で迎え、家族に見守られながら天国へと旅立った。 河本さんは、30年以上前にアイバンクに登録をしていた。看取った息子の成彦さんは、そのことはすっかり忘れていた。福井医師が角膜提供の意思確認をしたことで思い出したという。 「話を聞いて思い出した。そう言えば親父は、社会活動として献眼登録の推奨をしていた。これはしないといけない、ということで献眼をすることにしました。」
提供を決めると、1時間後に摘出する眼科医が到着をした。20分程度で手術を終え、見た目には分からないよう処置をしてくれた。 「家族としては抵抗がなかった。こうやって親父が世の中のために役立てば、本人も満足でしょうし、私たちも一番いいんじゃないかと思います。」 献眼の意思確認をする医師に一切報酬はない。しかし、福井医師は自分の経験を他の在宅医の仲間に伝え、少しずつ広がりを見せている。
「免許証や保険証の裏側を知っていますか?」
福井医師は呼びかける。免許証や保険証の裏側にある角膜提供を含めた臓器提供の意思表示カードに記入をしておいてほしいと。 もちろんその意思は、「イエス」でも「ノー」でもどちらでもいい。とにかく自分の意思を示しておいてほしい。そして、家族にその内容を伝えて、話し合いをしておいてほしい。 それをしておくと、いざというときに、提供する、しないで家族が迷うことがないだろうし、その後、提供した後悔も、提供しなかった後悔もしなくて済むだろうから。まずは、あなたの免許証や保険証の裏側を見て、家族と話しをしてみてはどうだろうか? ※この記事はテレビ新広島とYahoo!ニュースによる共同連携企画です
テレビ新広島報道部 石井百恵