米雇用市場へのリスクがあちこちで顕在化-地区連銀調査
(ブルームバーグ): 最新の地区連銀調査で雇用の指標が米雇用市場へのリスクを浮き彫りにしたことで、米連邦準備制度は利下げにかじを切った。
最近発表された5つの地区製造業報告の8月の指数はいずれも工場における雇用者数の減少を示し、サービス業の雇用者数の指標は軟化しつつある。労働時間の指標も低下している。
これらの調査は、実際の雇用の変化というより業界のセンチメントを測るものだ。しかし、7月の雇用者数の伸びが期待外れだったことや、3月の雇用者数の大幅な下方修正を示す別のデータに続くこれらの調査結果は、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が政策決定者にとって最重要だとする労働市場の減速を示している。
製造業では、カンザスシティー連銀の指数が2020年半ば以来初めて3カ月連続で雇用者数の減少を示し、リッチモンド連銀の指数は新型コロナウイルスのパンデミック期を除けば09年以降で最も弱い。
サービス業とその他の非製造業では、フィラデルフィア連銀地区のフルタイム雇用者数が今月、過去4年余りで最も大きく減少した。リッチモンド連銀の雇用指標は、20年以来初めて2カ月連続で縮小を示した。
ダラス連銀の雇用指標は、3年にわたる落ち込みから安定化の兆しを示したものの、テキサスのサービス業雇用が過去2カ月に事実上停滞したことを示した。ニューヨーク州では8月に、年初来で初めて雇用者数が減少した。
米国人自身も雇用機会が限られていることに気づいている。27日に発表されたコンファレンスボードのリポートによると、仕事を得るのが難しくなっていると答えた消費者の割合は今月、21年3月以来の高水準に達した。
地区連銀調査によれば、工場労働者の労働時間も幅広く減少している。ニューヨークでは、製造業の労働時間は過去1年余りで最も大きく減少した。テキサス州、フィラデルフィア連銀とカンザスシティー連銀の調査対象地域でも、週労働時間の減少が長期化しており、人員削減のリスクが高まっている。