オファーあれば壁ドン演出も 『東京ウィンドオーケストラ』坂下雄一郎監督
ド素人なのになぜか高額なギャラをもらい、屋久島に呼ばれてコンサートをすることになった吹奏楽団。観光気分で行ってみると、島をあげての大歓迎。不審に思った彼らは、名前が酷似した有名吹奏楽団と勘違いされていることに気付く。自分のミスに気付いた町役場の職員・樋口は、島から逃げ出そうとする彼らを引き止め、“本物”で押し通そうと説得する。果たしてこのピンチを乗り切ることはできるのか? 平和な島に巻き起こるハプニングをかみ合わないやりとりや無理のある主張などで、笑いを誘う映画『東京ウィンドオーケストラ』。 同作の監督を務めるのは、新鋭・坂下雄一郎(30)。東京藝術大学大学院在学中に撮影された『神奈川芸術大学映像学科研究室』がSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2013年審査員特別賞を受賞するなど、国内外で高い評価を受け、今日本映画界で最も注目を集めている監督の一人だ。
商業映画デビュー作『東京ウィンドオーケストラ』
初の商業映画となった同作は、松竹ブロードキャスティングのオリジナル映画製作プロジェクトによるもの。 「オリジナルの脚本を書いて、キャスティングは主演の中西美帆さんと小市慢太郎さん以外、ワークショップを通して発掘した役者さんたちの中から選びました。役者以外の仕事をしていた人や演技は初体験という人もいました。映画の内容はわかりやすい、王道の話です。撮影は緊張の連続で常に必死でしたが、丁寧に仕上げることができました」 一人よがりな思い入れだけで作るのではなく、たくさんの人に喜ばれて興行収入につながるような、いわば“商業っぽい作品”も撮れるということをアピールできたと胸を張る。この作品が名刺代わりとなり「今後のオファーにつながれば」とも話す。 「ほかに2016年に2作品を撮り終えて、今年中に公開できればいいなと思っています」 同作を通じて、出会った役者やスタッフたちとの関係を大切に、これからもいろいろな作品を撮っていきたいという。