社交不安症(社交不安障害・SAD・あがり症)の症状を医師が解説 治療法や原因・診断方法も紹介
精神科医に聞く社交不安症の治し方 薬物療法・認知行動療法など治療・対処法・克服方法
編集部: 社交不安症の治療法について教えてください。 近野先生: 現在置かれている状況や希望を確認し、相談しながら治療方針を決定していきます。その中で、主に「薬物療法」と「精神療法(心理療法)」の2つの治療法があります。薬物療法では、症状やご本人の状態に応じて、抗うつ薬・抗不安薬・ベータ遮断薬などの薬が処方されます。ご自身に合った薬が処方されれば、費用も安く効果の高い治療法と言えるでしょう。ただし、社交不安症そのものを治療するわけではないことや、薬によっては眠気や吐き気などの副作用があることなどは注意していただきたいですね。 編集部: 精神療法についてはいかがでしょうか? 近野先生: 「認知行動療法」と呼ばれる治療方法がよく用いられます。認知行動療法とは、物事の見方(認知)と行動の仕方を変えるアプローチ法です。極度な不安感を覚えていたり、「上手にできないと嫌われてしまう」と思っていたりしたことも、周りはそこまで気にしていないということに気づいてもらい、見方を変えていきます。精神療法を何度か繰り返して見方が変わると、不安を感じにくくなったり、症状が落ち着いてきたりする効果が期待できます。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 近野先生: 「緊張しやすいのは、性格だから仕方ない」と、ずっと我慢している人がとても多いと感じます。何年も辛さを抱えた後にようやく受診して、診察の最後に「こんなことで来てよかったの?」という質問をする患者さんもいるほどです。少しでも症状が気になったら気軽に相談していただきたいと思います。私たちはそうした悩みを抱えた人が来るのを待っています。専門家が力になりますので、1人で悩まずぜひ相談してください。
編集部まとめ
「社交不安症(社交不安障害・SAD・あがり症)」の症状や原因、治療法などについて解説していただきました。実際、「性格だから仕方ない」と10年くらい我慢し続けて、ようやく受診する人もたくさんいるとのことでした。今回紹介した症状に少しでも当てはまる場合、まずは一度、専門の医療機関に相談することをおすすめします。
【この記事の監修医師】
近野 祐介 先生(ペディ汐留こころとからだのクリニック) 信州大学医学部医学科卒業。その後、飯田市立病院、産業医科大学精神医学教室、門司松ヶ江病院などで勤務医として経験を積む。2023年、「ペディ汐留こころとからだのクリニック」副院長に就任。日本精神神経学会精神科専門医、日本救急医学会救急科専門医。精神保健指定医。