こっそり安宿に泊まり、「浮いた宿代」を着服したのでは?…税務調査で「カラ出張疑惑」が上がる理由【税理士が解説】
カラ出張を指摘されないために取るべき対策
税務調査でカラ出張を指摘されないためには、以下のような対策が重要となります。 ●出張旅費規程を作る ⇒旅費交通費の使い方について社内規定を設けてルール化することで、高額な旅費交通費の申請、計上を防ぎ、税務調査で不透明な経費計上を疑われるリスクを避けやすくなります。旅費規程の内容については特に法律で定められていないため、適正な範囲で会社ごとに作成することが可能です。社内で作った旅費規程は、労働基準法によって就業規則として扱われます。 出張旅費規程を作成する際には ・規定を作成する ・社内全員へ周知する ・株主総会で決議決定する といった流れで行います。 <出張旅費規程で定める主な内容> 旅費規程で定める内容としては、以下が挙げられます。 ・出張の定義: どこまでの移動を出張と定義するかを定めます。一般的には、宿泊をともなう場合、片道100kmを超えた場所へ移動する場合に出張と定義されます。 ・適用範囲: 出張にともなう旅費交通費の支給を社員に限定するか、契約社員やパート、アルバイトも含まれるのかなどを定めます。 ・出張手当と宿泊費: 出張時に支給される手当と宿泊費を定めます。産労総合研究所が2019年6月に行った調査によると、宿泊出張時手当の平均額は部長職が2,900円、一般社員が2,355円となっていました。宿泊費については部長職クラスで9,835円、一般社員で8,605円となっています。 ※参照元:産労総合研究所『2019年度 国内・海外出張旅費に関する調査』(https://www.e-sanro.net/research/research_jinji/shanaiseido/shuccho/pr2007-2.html) ・グリーン車、座席等級など: 新幹線を予約する際にグリーン車料金を認めるか、飛行機の座席にビジネスクラス使用を認めるか、フェリー乗船時の座席クラスなどについて定めます。なお、産労総合研究所のデータでは、新幹線のグリーン車使用は「都度判断する」を含め、部長職クラスでの使用を認めているケースが18.1%となっていました。 ・出張先での経費をどこまで認めるか: 出張先でかかる交通費、宿泊費以外の経費について定めます。社員の飲食代などを福利厚生費として認めるかどうかなどが挙げられます。この他にも、出張の申請方法や出張費の仮払い手続き、費用の明細提出方法などについて定めます。
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