「人生って残酷な気もしますね」杏が映画「かくしごと」のために“内緒を抱えた”2週間
翔真くんの演技に生の感情を引き出されました
夕方になるとどんどん暗くなってしまうので、光があるうちに撮らなければと毎日が光との戦いみたいな感じでした。8月の終わりだったので、みんなの肌がだんだん汗ばんでいくのもわかりますし、日本の夏の湿度感まで伝わるような、作りものではない本当に自然な映像でした。 もし何かの都合で撮影の時期が少しでもずれていたらあの季節感は出なかったと思いますし、奇跡のような映像を切り取ることができたので、やっぱり映画館で観たいし、観てほしいなと思います。 ――最後の場面について聞かせてください。杏さんが脚本を読んで衝撃を受けたとおっしゃっていたとおり、強烈なクライマックスとなっていました。 このシーンに関しては、あまりテストせずにやってみたいと前々から監督に相談していました。カメラワークとしては何度かテストを重ねる構成だと思うんですけど、私はとにかく生の感情をいちばんに出したかったので。 とはいえ、自分が千紗子をどう演じるかというイメージはほとんどなくて、やはり翔真くんありきでした。私の中でどういう感情がいちばんに出てくるだろうといろいろ考えていたのですが、実際に拓未であって拓未ではない彼が最後に見せた淡々とした表情に、「怖い」って思ったんですよ。 ――怖い、ですか? 温かい感情とか、悲しいとか愛おしいとかではない、何か背中に雨だれが落ちてきたような、ヒヤッとするもの。もちろん愛おしさや悲しさが全くないっていうわけではないんですけれども、最後にそういう感情がバーンと入ってきたんです。 たった1回の本番で、まさに生の感情を出すところまで揺さぶってくれた翔真くんの演技って、本当にすごい。撮影からもう2年たっているので、たぶんまたすごく成長していますよね。なので、あの時の彼がこの映像の中にいたというのは、本当に奇跡だと思います。 ――最後に、完成作をご覧になった感想を聞かせてください。 やっぱりこれはミステリーだな、とすごく感じました。母性だったり、人と人との愛だったりという温かい部分ももちろんあるんですけど、ちょっとヒヤッとするような、ブルっと震えるような恐ろしさみたいな部分が、翔真くん演じる少年のキャラクターに潜んでいて、映像だからこそそれが描き出されている。観た後に誰かと話したくなるような作品だと思いますし、私自身、参加できてよかったと心から思える作品です。 杏(あん) 1986年生まれ。2001年にモデルとしてデビューし、2005年からはニューヨークやパリ、東京などの主要ファッションショーで活躍。2007年に女優デビュー。NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」やドラマ「花咲舞が黙ってない」シリーズなどで主演を務めるほか、『キングダム 運命の炎』『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』など数々の映画やドラマに出演している。 衣装 シャツ 269,500円、スカート 294,800円 Bottega Veneta/Bottega Veneta Japan ピアス K18RG,MALACHITE,WHITE DIAMONDS 473,000円 ブレスレット K18RG,1 MALACHITE,1 WHITE MOTHER OF PEARL,WHITE DIAMONDS 341,000円 POMELLATO/ポメラート クライアントサービス
張替裕子(Giraffe)