空冷最後の「911ターボ」は約3600万円で落札! 走行距離4万2000キロ、777台のアメリカ仕様の1台は内外装ブラックの極上車でした
アメリカ向けは777台が生産された
出品車の911 ターボは、前で触れたとおり1997年に生産されたもので、わずかに777台が生産されたのみのアメリカ仕様だ。ポルシェの鑑定書によると、このクルマは1997年3月10日に生産を完了し、ブラックのエクステリアカラーと、同じくブラックのレザーインテリアで仕上げられているのが特徴。 ウインドウステッカーに記載されたファクトリーオプションには、アップグレードされたフロントとリアのレザー素材、フロントシートヒーター、ヘッドレストのポルシェクレスト、リモート6ディスクCDチェンジャー、エンブレム付きメタル製のドアシルプロテクター、アルミニウム製インストルメントダイヤル、ブラックのポルシェフロアマットなどの装備が含まれている。 そしてウインドウステッカーには、この911ターボがオハイオ州ベッドフォードのFred Baker Imported Carsに出荷されたことが記されている。このクルマのメンテナンスブックにはオリジナルのオーナーが記載されていないが、2001年11月にFred Baker Imported Carsでサービスを受けた際のスタンプが押されている。 生産からすでに四半世紀以上の時を経過した911 ターボだが、オドメーターに示される現在までの走行距離は約4万2000km。2012年にデール・トゥ・ドリーム・コレクションの所蔵車になってからも、そのリフレッシュ、そしてメンテナンスのための作業は頻繁に行われ、それらの詳細はすべてメンテナンスブックとサービスインボイスに残されている。 最低落札価格なしの好条件で行われた今回のオークション。その落札価格はコンディションの素晴らしさもあって、25万2000ドル(邦貨換算約3594万円)にまで高騰した。これはRMサザビーズの示したエスティメート(予想落札価格)、20万~30万ドル(邦貨換算約2853万円~4276万円)のちょうど中間にある数字だ。スポーツカーとしての911 ターボの魅力、そしてまたクラシック・ポルシェとしての価値が993型911にもすでに出てきたことを、今回のリザルトは証明していたのである。
山崎元裕(YAMAZAKI Motohiro)