日立製作所・東原敏昭会長「安全管理上のコストも価格転嫁が必要」大企業としての責任
■大手企業、33年ぶりに5%超えの賃上げ率 ~中小企業の適切な賃上げには“価格転嫁”が課題
経団連は5日、今年の賃上げ調査結果を公表した。大手企業の従業員77万8000人の基本給は月額1万9210円の増額となった。上昇率は平均で5.58%のアップで、33年ぶりの5%超えとなる。(去年は3.99%のアップ)。 一方で、賃上げは中小企業の隅々にまでは広がりきっていない。そのため、経団連は中小企業も含めて賃上げが定着するよう、引き続き適切な価格転嫁を大手企業に呼びかけていくとしている。 企業が価格転嫁をどう考え、どのように取り組むべきかのヒントを探るため、価格転嫁の促進に真正面から取り組んでいる企業経営者らにインタビューした。第2回は日立製作所・東原敏昭会長に話を聞いた。(聞き手・経済部記者・城間将太)
■「本当の意味で価格転嫁が末端までされているのか透明性を増していく必要がある」
Q.今年、大企業や中小企業で歴史的な水準の賃上げが実現した。そのためには大企業から中小企業への価格転嫁が重要だ。経営トップとしてこれまで価格転嫁にどのような姿勢で臨んできたか。 (日立製作所・東原会長)価格転嫁というのは非常に重要な課題だと考えています。ですから、パートナーシップ構築宣言を発行しましたけれども、経団連でも進めていますが、やはりパートナー、サプライヤーといかにコミュニケーションを密にして、価格転嫁がどういう状況で起きてるのか、そういうことをまずファクトファインディング(=課題解決に必要な実情を把握)するっていうのが非常に重要で。当然コスト上昇分を売価の方に転換していくというのは自然な動きだと考えています。 ここで注意しないといけないのは、 我々はサプライヤーに対してコミュニケーションをしますけれども、そこから重層構造で発注されているようなケースがあります。一次、二次、三次、こういうケースにおいて、やはり我々側では透明性が見えないところがあります。ですから、本当の意味で我々の価格転嫁が末端まで価格転嫁されているのか、やはりそこも透明性をもっと増していく必要があるのではないかと思ってます。