次にやるのは「新作or続編」? 『ゴジラ-1.0』の「ハッピーエンドか分からん」ラストの意図は
なぜ典子は生きていた?
2024年11月1日(金)に「金曜ロードショー」で、『ゴジラ-1.0』が放送されました。劇場公開時から特に多くの考察が飛び交ったのが、解釈を受け手に委ねている「ラスト」です。そして、「金曜ロードショー」放送後に「ゴジラ 新作映画 製作決定」「監督・脚本・VFX:山崎貴」「続報を待て」と、重大発表がありました。 【画像】え…っ? 「続編」で浜辺美波がこうなる可能性もある? こちらが「ゴジラ細胞(G細胞)」に大きく関わる怪獣「ビオランテ」です 完全新作のゴジラ映画なのか、『ゴジラ-1.0』の続編なのか現状不明ですが、山崎貴監督が明言したことも踏まえ、「あのラストを回収する続編が作られるとすれば、どのような展開が考えられるか」を予想しましょう。 ※以下、『ゴジラ-1.0』のラストを含むネタバレに触れています。 ●はっきりしなかった生死、ヒントは? 公開当時や今回の「金曜ロードショー」で観た際に、「ラストでなぜ浜辺美波さん演じる『大石典子』は生きていたのか」「どういう状態になっているのか」と思った方は多いでしょう。何しろ中盤で、主人公「敷島浩一(演:神木隆之介)」は銀座で働いていた典子の手を引いて逃げようとするものの、典子は「ゴジラ」の放射熱線により生じた爆風で吹き飛ばされてしまったはずです。身体に大きながれきが当たっているようにも見えました。 しかし、ラストで神木隆之介さん演じる敷島が病院に駆けつけて見たのは、包帯でぐるぐる巻きのままベッドに座っていた、痛々しい姿の典子だったのです。死んだと思われた典子が生存していた理由は劇中では明確には語られていませんでしたが、大きなヒントもあります。 それは、中盤の銀座の破壊後に「巨大生物の移動した跡には放射線の危険がある」「巨大生物から剥がれ落ちた肉片とみられるものが発見されており、日夜 未知の物質の処理に追われている」というニュースが報じられていること、そしてラストで典子の首に黒いアザ(のようなもの)があり、それがはい上がっていることです。 山﨑監督はHobby JAPAN Webのインタビューで「単なるハッピーエンドでもないし、単なるバッドエンドでもないよということで、観客の皆さんによっていろんな受け取り方をしていただければ」と語っています。しかし、大阪で開催されたゴジラ・フェスでは、山崎監督は典子の首のアザが「G細胞(ゴジラ細胞)」であることを認めていました。 G細胞は他のゴジラシリーズでも登場しており、たとえば1989年の『ゴジラvsビオランテ』では怪獣「ビオランテ」がG細胞の影響により誕生し、1994年の『ゴジラvsスペースゴジラ』や1999年の『ゴジラ2000 ミレニアム』でもG細胞により危険な怪獣が生まれるなど、「強力な自己再生能力を有している」存在として知られています。この『ゴジラ-1.0』の劇中でも、機雷で吹き飛ばされたゴジラの頭はすぐに再生していました。 つまり、典子は「爆風に巻き込まれたときに剥がれ落ちたゴジラの肉片にぶつかり融合した」「その肉片のなかのG細胞の自己再生能力により生き延びることができた(生き返った)」のではないか、だからこそ最後に首筋にG細胞のしるしのようなものがはい上がってきた、と考えられるのです。 ●「黒いアザ」はよくない未来を暗示させる 山崎監督は敷島がかわいそうだと思って典子を生存させたことを語っており、彼女の命が助かったことはもちろんポジティブに受け取れる反面、やはり黒いアザの見た目は不穏でネガティブな印象を持ちます。G細胞は典子の命を助けただけではなく、何らかの副作用が出ている、逆に典子の命が脅かされているという解釈もできるでしょう。 また、前述した中盤の銀座で放射熱線によりキノコ雲があがるシーンは、原子爆弾の投下の光景に似ています。典子はG細胞以外にも放射能に侵されているのかもしれませんし、アザそのものが被曝の症状のメタファーなのかもしれません。はたまた典子がG細胞と融合して「怪人」へと変化してしまうのではないか、といったゾッとする未来も考えられます。 もしくは、G細胞により典子がもはや「不死身」の存在になったのではないか、とも思えます。しかし、包帯をまいている以上、その傷は修復しきれていないでしょうし、人としての意識もはっきりしていますし、包帯以外の姿形も典子のままです。やはり黒いアザが出ていたとしても、完全にネガティブとも、もちろんポジティブとも言い切れないラストではあるのです。 典子は最後に敷島に「浩さんの戦争は終わりましたか」と問いかけていましたが、これからの彼らには「闘病」という新たな戦いが待っているのかもしれません。