〈大腸がんの8つの初期症状チェック〉赤い便、黒い便、下痢・便秘…日々の体調チェックでわかる! 大腸がんの9割を占める「大腸ポリープ」のサインとは
国立がん研究センターの調査によると、男女共通で日本人に一番多いがんは「大腸がん」となっている。大腸がんは早期段階では、ほとんど自覚症状がないため、初期症状を見逃さないことがリスクを下げることにつながる。その初期症状について、大宮エヴァグリーンクリニック、新橋消化器内科・泌尿器科クリニックなど、4つのクリニックの理事長を務める、医師の伊勢呂哲也先生が解説する。 【画像】大腸の構造
大腸がんは罹患者数1位、死亡数は2位
大腸は消化管の最後尾にあり、全長1.5~2mの管で、主に盲腸、結腸、直腸で構成されています。小腸から送られてきた内容物から水分やミネラルを吸収し糞便を作り、肛門から排泄するという大切な役割を担っているのです。 近年、大腸がんの患者数は増加の傾向にあり、国立がん研究センターの調査(2019年)によると大腸がんは罹患者数1位、死亡者数は2位となっています。 大腸がんの要因には生活習慣が大きく関わっています。 リスクとして挙げられるのは、喫煙、飲酒、肥満です。また添加物や塩分が含まれている加工肉、赤身肉の摂取なども大腸がんのリスクになりやすいと言われています。 大腸がんは早期の段階では、ほとんど自覚症状はなく、進行すると症状が現れることが多いことから、初期症状を見逃さないことが大切になります。
便の異常を見逃さない
大腸がんには見逃せない8つの初期症状があります。以下、挙げた8つの症状があれば、すぐに医療機関を受診しましょう。 症状1:赤い便 がんは正常な細胞ではないので、がんが増えていくときには血管を新しく作る血管新生をしていきますが、その血管はもろく、破れやすい状態にあります。そのため収縮、拡張を繰り返す大腸の中を便が通っていくと、こすれたり、当たったりすることで出血してしまうので、血が混じった便が排出されるのです。 ただし、赤い便は大腸がんだけではなく、いぼ痔や切れ痔、肛門の中の血管が拡張して出血することで起こることもあります。今までそういったことがないのに、赤い便が出るようなら、大腸がんの疑いがあるので、医療機関を受診してください。 症状2:黒い便 黒い便は、一般的に、胃がんや十二指腸潰瘍により、胃や十二指腸で出血し、その血が腸に流れ込んで、長い時間とどまっていることで、黒い便として排出されます。 ですが、大腸で出血して、便秘でずっと留まっていて、黒い便になっている可能性もあります。 黒い便だからといって必ずしも、胃や十二指腸での出血とは限らないので、大腸についても診てもらうようにしましょう。 症状3:体重減少 大腸がんに限りませんが、がん細胞は大きくなり増殖していくと、栄養を奪っていきます。ダイエットをしていないのに、半年~1年の間に、体重が5%減っている場合は注意が必要です。 例えば体重が60kgの人なら、普通に食事しているのに半年で3kg減っているなら、大腸がん、もしくは他のがんの可能性があります。 半年や1年でなくとも、一定期間に体重が急激に減るようだったら、医療機関に相談をしましょう。 症状4: 貧血、めまい 大腸がんから出血すると、血液量、ヘモグロビンは減っていき、赤い便で気づくのですが、少量だと、便に交じっていてもわかりづらいことがあります。それに気づかず放置していると、貧血やめまいを起こしてしまいます。貧血はがんだけが原因で起こるわけでないので、便の色に変化がないかも併せてチェックするようにしてください。 症状5: 下痢、便秘 大腸にがん細胞があると、大腸の動きがスムーズにいかなくなります。 大腸で水分を吸収できず、下痢になったり、がん細胞があるため、便が通れず便秘になったりなどします。 今までなったことがないのに下痢や便秘が続く、食中毒ではないのに下痢が3週間以上続いているときは、大腸カメラ検査やCT検査などを受けましょう。