通信とAIの未来はどう進化していくのか? 通信各社が推進するAIのネットワーク活用の現在地と今後の展望
超知性ネットワーキングに関する分野横断型研究会 (RISING2024) とは?
現在、機械学習などのAI関連技術を活用したネットワーキングに関する研究開発は活発化しており、国内外でさまざまな研究成果が発表されている。 そんな中、より高度な「Super-Intelligent Networking」を目指した研究について、有線/無線,上位/下位の枠を超えて議論する場の提供を目的に、通信ソサイエティの第三種研究会として2020年9月に設立されたのが、電子情報通信学会・通信ソサエティ会長の中尾彰宏教授(東京大学大学院工学系研究科)が委員長を務める19研専が横断的に協力して運営する 「超知性ネットワーキングに関する分野横断型研究会」 である。学生や企業の研究者を主役としてAIと情報通信の融合に向けた研究を加速することが想定されており数多くのパネル発表を短時間で実施しフィードバックを行うと同時に産学連携を加速する取組である。 本研究会では、通信ソサイエティのさまざまな通信技術分野を横断した活動に加え、ITU主催の全世界対象イベント5G AI/ML Global Challengeの日本開催分の運営を担当するなど、電子情報通信学会の枠を超えた活動も行っている。 今回開催された 「RISING2024」 は、第三種研究会になって4回目の研究会として開催されたもので、KDDI、NTT、ソフトバンクなど通信各社の技術責任者が揃って登壇、各社の取り組みについて講演するとともに、「通信とAIの将来」 をテーマにパネルディスカッションにて議論を交わした。
KDDI、NTT、Softbank ~通信各社によるプレゼンテーション
最初に登壇したのは、株式会社KDDI総合研究所 取締役執行役員副所長、兼、先端技術研究所所長の小西 聡氏。『通信とAIの融合によって高まるBeyond 5G/6G時代の「つなぐチカラ」』 と題し、講演を行った。 小西氏は、KDDIビジョン2030に向けAIと通信技術の進化を通じて社会をより良くする取り組み、特にネットワーク運用技術の向上のためにAIを活用し、自立型ネットワークの実現を目指していることが紹介された。 また今後の社会通信インフラの構築には業界全体で、若い力が必要性について語るととともに、「一緒にやっていきましょう。」と会場に呼びかけた。 続いて登壇したのは、日本電信電話株式会社 NTTネットワークサービスシステム研究所 所長の安川正祥氏、『NTTにおける、AIを活用したネットワークオペレーション技術開発チャレンジについて』 と題し、講演を行った。 KDDIの小西氏と同様に、安川氏もNTTがネットワークの知的化と自動化を進めるため、AI技術を積極的に活用する方針であることが明かされた。また具体的には、信頼性向上のための異常検知や故障復旧にAIを導入し、生成AIを活用したオペレーションの自動化を推進することで、強靱なネットワークの構築を目指すとともに、NTTが進めているIOWN構想への適用も今後進めていくと語った。 そして最後に登場したのは、ソフトバンク株式会社 執行役員 先端技術研究所 所長 湧川隆次氏、『産業とAI-RAN』 と題し講演を行った。湧川氏もソフトバンクの技術開発とAI社会インフラに関する取り組みについて紹介。 特に、AIと通信の融合に焦点を当てた「AI-RAN」のコンセプトや、NVIDIAのGPU技術を活用したAI-RANの実現、自動運転の遠隔監視、6Gにおけるセンシング技術の活用などについて詳細に説明、ソフトバンクがAIを基盤とした社会インフラの構築を目指していることを強調した。