ウォール街も不安、米株「T+1」前夜-外為市場が火種になる恐れ
(ブルームバーグ): 米国で証券取引の決済期間を短縮し、決済日を約定日(トレードデート)の翌日とする「T+1」が5月28日から始まる。メモリアルデー(27日)の連休明けに米市場が再開する際、全てが通常通りに見えても、取引終了から数日後にかけ亀裂が表面化すると予想される。
米国証券の取引プロセスがスピードアップし、あらゆる取引完了までに許される時間が従来の半分の1日になることで、フェイル(証券決済未了)やオペレーションのミス、追加コストも急増すると業界は不安視する。
SNSやネットの情報拡散に呼応して売買される「ミーム銘柄」の当初の騒動をきっかけに約定と決済の間に手違いが起きる可能性を減らす目的で、米証券取引委員会(SEC)はT+1を推進してきたが、移行それ自体にリスクが伴う。
米国市場に約27兆ドル(約4200兆円)相当の資産を保有する国際投資家は、米国での取引の資金を一般的な方法で調達する時間が、実際に取引を完了しなければならない期間より長くかかるシステムの問題に直面する。
アファメーション(詳細の確認)やエラーの修復、貸し出し中の証券回収といった取引プロセスの広く知られていない部分を少なくとも倍の速さで処理しなければならない。グローバルファンドは、キャッシュフローの出入りと資産売買が異なるスピードで動くミスマッチに対応せざるを得ない。
今月末までに世界の主要株価指数の組入銘柄入れ替えが実施されたり、再編の予定が公表されたりする時期と重なり、ストレステストで直ちに万事試される格好になる。
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シティグループの証券サービス向けカストディーデータのグローバル責任者ミシェル・ピッツ氏は、業界全体でフェイルが増える可能性に言及し、「総動員になるだろう。最初の数週間は決済リスクの著しい増大が見込まれる」と予測する。
JPモルガン・チェースの内部モデルによると、顧客のために処理する為替取引の約4分の1が影響を受けることになる。ブラウン・ブラザーズ・ハリマンは、潜在的な問題を抱える顧客を特定するため、「T+1シミュレーター」で顧客を審査しているという。