世間一般の「ヒット分析」は、ぶっちゃけ無意味! 西野亮廣が、“本当に使える”指針を4つの軸で解説。
20万部以上売れている『夢と金』も…
ところが、ネットの記事とかでよくある「○○がヒットした理由」には、さっきの4象限の上半分や左半分に分類されている作品や商品やサービスも取り上げられていたりします。 ためしに「PPAP ヒットした理由」で検索してみたところ、1番上に出てきた内容がコレです。 ↓ 「PPAP」の音楽としての魅力はもちろん。 ただ、結果的にこれだけ広まった理由は、「PPAP」が世界中の誰にでも理解できる単純な英語で構成されていたということ。 そして、芸人がやるような「リズムネタ」という枠を超えて、世界に通用するキャッチーな音楽性があったということだ。 そりゃそうなんだけど、だけど、「世界中の誰にでも理解できる単純な英語で構成されているキャッチーな音楽」という同じ条件でヒットしていない曲が世界中に何百万曲あるんだよ、という話で、「理由」と呼ぶには、あまりにもお粗末な気がします。 あそこまでのヒットになってくると、最後の最後は「ガチャ」で、ヒットした理由を語るなら「ガチャを当てた。よって再現性はありません。以上」だと思うんです。 僕、ときどき調子にのってビジネス書を出したりするんですけども、やっぱり狙えるヒットは「右下」なんです。 今の人が求めているモノの本質を探り当てて、死ぬ気でやれば「6~7万部」は確実に狙えますが、「20万部以上」はガチャです。 『夢と金』を出す時に、オンラインサロンでは「この本はヒットさせます」と先に宣言したのですが、同時に「ただ、狙えるのは○○万部まで。そこから先はガチャ」と言っていて、ほぼほぼその通りになりました。 『夢と金』は今、20万部以上売れていますが、後半はマグレです。 再現性はありません。 なので「再現性の無いヒットについて議論するだけ無駄だと思います」というのが今日の結論です。 朝っぱらから偉そうに失礼しました。 西野亮廣/Akihiro Nishino 1980年生まれ。芸人・絵本作家。モノクロのペン1本で描いた絵本に『Dr.インクの星空キネマ』『ジップ&キャンディ ロボットたちのクリスマス』『オルゴールワールド』。完全分業制によるオールカラーの絵本に『えんとつ町のプペル』『ほんやのポンチョ』『チックタック~約束の時計台~』。小説に『グッド・コマーシャル』。ビジネス書に『魔法のコンパス』『革命のファンファーレ』『新世界』。共著として『バカとつき合うな』。製作総指揮を務めた「映画 えんとつ町のプペル」は、映画デビュー作にして動員196万人、興行収入27億円突破、第44回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞受賞という異例の快挙を果たす。そのほか「アヌシー国際アニメーション映画祭2021」の長編映画コンペティション部門にノミネート、ロッテルダム国際映画祭クロージング作品として上映、第24回上海国際映画祭インターナショナル・パノラマ部門へ正式招待されるなど、海外でも注目を集めている。また「えんとつ町のプペル」は、ミュージカルや歌舞伎にもなっている。
TEXT=西野亮廣