DICが球体ドローン開発 池田社長がCESで「ピッチ」実施
インキ大手のDICは、エポキシ樹脂など半導体関連材料でも知られる化学メーカーだ。以前からロボットハンドの開発などで話題を呼んできたが、新たに独特な球体ドローンを作り、米ラスベガスの家電・IT展示会「CES 2025」に展示。「CESイノベーションアワード」を受賞した。 【関連写真】球体ドローン「アガモスフィア」 「アガモスフィア」という名前で、機体内部に8基のプロペラを文字通り四方八方を指すよう配置。市場に普及するドローンと異なり飛行中に機体を傾かせる必要がなく平衡を保って水平、垂直移動ができる。地上を転がりながら移動することも可能。徳島大学の三輪昌史准教授と開発したもので、ドローン技術の菱田技研工業(堺市西区)がカスタマイズを手掛ける。 自らCESに参加したDICの池田尚志社長は、スタートアップの創業者を思わせる軽快さで「ピッチ」と呼ばれる短時間の概要発表を行い参加者を引きつけたほか、会場内で報道機関の取材にも応じ、開発や出展の意図について質問に答えた。 同社はドローンで使用する素材などに以前からかかわってきたが「化学メーカーとしては、なかなかCESのようなイベントに参加し情報を収集する機会が少なかった」(池田社長)。今回多くの人にとってわかりやすいかたちで出展したことで、大きな反響を得られたとしている。 こうしたドローンにどのような用途があるか調べる目的もあったが、実際はむしろほかの参加者が「どのようなユースケースや課題があり、どう使うのか」を尋ねてくることが多く、次の機会にはより明確なユースケースも出していかねばならないとの示唆を得たという。寄せられた声に対応しながら、引き続きイベントへの出展を検討していきたいとしている。 池田社長はまたCES全体の動向も見渡し「人工知能(AI)は各社が実装フェーズに来ている」と分析しつつ「AIによる豊かさや便利さは語られるが、果たして我々にとって幸せなことか、どう我々の生活が変わるのかはまだ分かっていない」試行錯誤の状況だと続けた。AIについても化学メーカーとしてどのように参加してゆくか着想を得たとし、2026年以降の戦略に落とし込む考えを示した。
電波新聞社報道本部