アジカン後藤さん支援の音楽スタジオ設立へ CF成功 静岡・藤枝に
静岡県藤枝市にミュージシャン支援と地域交流の拠点となる音楽制作スタジオをつくろうと、人気ロックバンド「アジアン・カンフー・ジェネレーション」(アジカン)の後藤正文さん(48)が創設したNPO法人「アップルビネガー音楽支援機構」のクラウドファンディング(CF)が目標額の5500万円を突破した。7、8日に藤枝市民会館で行われたアジカンの公演で後藤さんは「皆さんの協力で、未来のミュージシャンが潤う。すてきなスタジオを必ずつくる」とファンに語りかけた。 【写真特集】坂本龍一さん、多彩な活躍 若き日の素顔も CFは藤枝市にある茶の倉庫だった土蔵とビルを改修し、滞在型音楽制作スタジオ「Music Inn Fujieda(ミュージックインフジエダ)」をつくる費用に充てるため、9月にスタート。12月初めに目標額に達した。スタジオは2025年秋ごろ完成する予定で、後藤さんが機材を提供し、大手レーベルに属さないミュージシャンの活動を金銭的、技術的に支援する拠点とする。地域交流に使用できるスペースも整備するという。 スタジオに改修する土蔵は、東海道の宿場町として栄えた歴史を持つ同市の旧市街地にある。後藤さんは「宿場町には、旅のアーティストを泊めてやり、その礼にアーティストが作品を置いていく文化もあった。東海道にスタジオをつくることに、意味があると感じている」と力を込めた。 後藤さんは藤枝市に隣接する島田市六合地区出身。公演では、制作環境に恵まれないミュージシャンたちに天井が高く広いスタジオを提供したいと、約2年前から、藤枝市役所で空き家対策を担当していた友人と町を歩き回ったというエピソードを紹介。「藤枝に愛着が深まっている」と語った。 藤枝市民会館での公演は両日とも約700席が満席となった。「リライト」「ソラニン」などのヒット曲やサッカーJ2・藤枝MYFCの応援ソングにもなった「解放区」など20曲余りを県内外のファンが楽しんだ。会場には「アップルビネガー音楽支援機構」の募金箱も置かれ、「未来のミュージシャンのために」との後藤さんの呼び掛けに応じて、寄付するファンも多かった。 CFは15日まで。詳細はアップルビネガー音楽支援機構のウェブサイト。【藤倉聡子】