60歳未満で会社を辞めました。国民年金保険料はどうしたらよいでしょうか?
国民には国民年金に20歳から60歳までの40年間(480ヶ月)加入し、原則として毎月国民年金保険料を支払う義務があります。厚生年金の加入対象である会社員として働いている場合には、国民年金保険料は給与から天引きされる厚生年金保険料に含まれるため、別途支払いはありません。 しかし、60歳未満で会社を辞めてその後は働かない場合、国民年金保険料の支払いはどうしたらよいでしょうか。詳しく解説します。
国民年金保険料の支払い方法
60歳未満で会社を辞めて無職となった場合は原則として、自営業者やフリーランスとその家族、学生などが該当する、第1号被保険者となります。第1号被保険者は、自分で国民年金に加入して、国民年金保険料を納める必要があります。 国民年金への加入の手続きは、住所地の市区役所または町村役場で、年金手帳または基礎年金番号通知を明らかにする書類・本人確認書類・マイナンバーなどを持参して手続きします。また、電子申請も可能です。原則として、退職日の翌日から14日以内に手続きが必要です。 第1号被保険者が負担する国民年金保険料は、月1万6520円(令和5年度)となり、年間で約20万円を負担する必要があります。将来年金を受け取るには、10年(120ヶ月)以上の国民年金保険料の受給資格期間(保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した期間)が必要です。 また、配偶者が会社員や公務員など第2号被保険者の場合は、その配偶者の扶養に入り(被扶養者になり)、第3号被保険者になることも可能です。扶養に入る条件は、年間収入130万円未満(60歳以上または障害者の場合には、年間収入180万円未満)かつ配偶者の年間収入の半分未満(同居の場合)であることです。第3号被保険者は保険料負担がありませんが、これは、第2号被保険者が全体で負担しているためです。
国民年金保険料の支払いが厳しい場合
国民年金保険料の支払いが厳しい場合はどうすればよいでしょうか。その場合は条件を満たせば、申請手続きをすることにより、国民年金保険料の支払いの免除・猶予を受けることができる場合があります。免除や猶予を受けた期間は、年金の受給資格期間に含まれます。 免除の場合は「全額免除」「4分の3免除」「半額免除」「4分の1免除」の4種類の免除があり、免除期間に応じ一定の年金額を受給できます。全額を納付した場合よりも少なくなりますが、もらえる年金額が増加します。免除制度には年齢制限がありません。 また、20歳から50歳未満の方のみが利用できる「納付猶予制度」の場合は、経済的な理由から年金保険料を納めることができない場合に、納付時期を遅らせてもらうことができます。50歳以上の方の場合、納付猶予制度は利用できません。50代であっても所得が少ない場合や、退職(失業)を理由に国民年金保険料を支払えない場合は、納付免除制度を利用することができます。 免除や猶予を受けた月の保険料は、10年以内ならば追納できます。追納すれば、本来の保険料を納めた場合と同じ金額の国民年金がもらえます。ただし、3年を超えて追納すると、保険料に一定の金額が加算されるので、2年以内に追納しましょう。 なお、免除や猶予を受けていない場合、納付できるのは2年以内で、それまでに納めなければ「未納」となってしまいます。滞納した保険料は、過去2年以内の分しか支払うことができません。 もしも過去2年(免除・猶予の申請をしている場合は過去10年)より前に未納のままの国民年金保険料がある場合は、年金の申請ができないため、その分国民年金が減ってしまいます。さらに、障害年金や遺族年金がもらえなくなったり(それぞれの受給要件を満たさない場合)、最悪の場合は、財産が差し押さえられたりする場合もあります。 もしも20歳から60歳までの間に未納があった場合には、その分受け取れる国民年金の金額は少なくなってしまいます。仮に1年間の未納(免除を受けている保険料はなしとする)があれば、65歳から受け取れる年金額は、年間で約2万円(≒年金額79万5000円(令和5年度)×1/40)も減ってしまいます。