ロシア主導同盟が首脳会議 アルメニア再び欠席、不協和音続く
ロシア主導の軍事同盟「集団安全保障条約機構」(CSTO)は28日、中央アジアの旧ソ連構成国カザフスタンの首都アスタナで首脳会議を開く。会議にはプーチン露大統領らが出席する。ロシアは自身の「勢力圏」とみなすCSTO諸国との結束を確認し、ウクライナ侵略で敵対する北大西洋条約機構(NATO)に対抗する構えだ。ただ、CSTOを巡っては近年、不協和音も目立っている。 CSTOはロシアとベラルーシ、カザフスタン、タジキスタン、キルギス、アルメニアの6カ国で構成。ウシャコフ露大統領補佐官の説明によると、会議で各国首脳は、来年が第二次大戦の対ナチス・ドイツ戦勝80周年に当たることに合わせた共同声明を採択する。地域の軍事・政治情勢などについても協議する。 アルメニアのパシニャン首相は昨年11月の首脳会議に続いて今回も欠席する。パシニャン氏は近年、係争地ナゴルノカラバフを巡る隣国アゼルバイジャンとの紛争でアルメニアを支援しなかったとしてロシアとCSTOを非難する一方、欧米との軍事協力を進めている。今年2月には「アルメニアはCSTOへの参加を凍結した」「ウクライナ問題でアルメニアはロシアの同盟国ではない」と発言したほか、9月のCSTO合同軍事演習にもアルメニア軍を派遣しなかった。 CSTOに加盟する中央アジア3カ国も、欧米との関係悪化への懸念からウクライナ侵略を支持せず、ロシアから一定の距離を置く外交政策を進めている。 ウシャコフ氏は今月26日、「アルメニアがCSTOの仕事に復帰する扉は開かれている」と指摘。露外務省のザハロワ報道官も27日、「CSTOとアルメニアの協力が完全に再開されることを期待する」と述べた。(小野田雄一)