東スポが“アルコール度数13%のレモンサワー”を開発した理由「5缶飲んで腰を抜かす人も」
“東スポらしい”アルコール度数13%のレモンサワー
早速おすすめを聞くと、大体の客が頼むという看板メニューが、その名も「東スポセット」だ。餃子・唐揚げ・レモンサワー缶の3点セットが税込1500円で堪能できる。 食してみると、ガツンとニンニクが効いた餃子と唐揚げに、さっぱりしたレモンサワーが相性抜群だ。組み合わせ間違いなしの王道居酒屋メシだが、東スポらしい“遊び心”も感じる。 「東スポらしさを出したいと考えた結果、やっぱ独自性とインパクトで尖らせなきゃいけないだろうと。缶のレモンサワーは“日本史上最強”のアルコール度数13%、餃子は青森県産のニンニクを通常の3倍、唐揚げは希少部位の“肩小肉”で勝負しました! 特にレモンサワーはドカンと波が来ましたね。低アルコール化が進み、大手各社もストロング系を抑えている時代に、逆行して突き抜けてるのが東スポらしいと好評でした。発売した途端、インフルエンサーに“世紀末のレモンサワー”と称されてバズったり、酒井法子さんが『マンモスレモンな味わい!』と宣伝してくれ、とても反響が大きかったです」 いかにも東スポらしい口上だが、実は3品ともクオリティが高い。ニンニクのパンチとまろやかさが共存する餃子に、醤油ベースでジューシーな唐揚げ、13%を感じさせない口当たりのレモンサワーと、つい飲み食いが進む。 「このレモンサワーは飲みやすくてヤバいんですよ。なかには5缶飲んで腰を抜かす人もいましたから(笑)。缶から直に飲むとアルコールが立ちすぎるのですが、ロックで飲むとまろやかになるんです。店舗では割材のソーダとレモン果汁も提供してるので、お好みで調整してもらえたら」 アルコールに弱くないはずの筆者も1缶流し込んだらクラっとくるほど。普段のペースで飲んだら泥酔しそうだが、それだけコスパ抜群で満足できる証拠だ。
新聞が斜陽産業と言われているからこそ
一通りメニューを堪能したところで、気になるのは東スポの動向だ。同社は3月12日にはマムシエキスが配合されたビール「大スポダイナマイトラガー」を発売。同時に今後も居酒屋業態での店舗展開を計画していると明かした。 現在、東スポの食をはじめとした新事業部門には5人が関わっており、いずれもメンバーは他部署と兼任している。佐藤さんは記者との兼業で、店内には自身が手がけた「メキシコオカルト紀行」の記事も飾られているが、いきなり畑違いの業態を任された当時は戸惑いもあったのではないだろうか。 「一言で言えば人がいないんですよ……(笑)。僕もこれまで新卒から記者一筋でやってきましたけど、2021年に社長(当時:編集局長)から『なんか持ってそうだから広報やって』と急に任命されてね。『え~!?』って話ですけど、『じゃあ紙でどうやって稼ぐんだ』と言われたら、何も言えないじゃないですか。 要するに四の五の言ってられないってことですね、とにかく新聞が斜陽産業と言われているご時世だしやるしかねえだろって。それに社長も本気で、東スポを総合商社にしていくと宣言しているなら、もう前に進むしかないですよね。片足突っ込むぐらいなら両足どころか首まで突っ込むし、いわば『死なばもろとも』精神ですね(笑)。実際のところ、純利益はそこそこですが、在庫を抱えない売り切りを徹底することで赤字は出ていない。今は出来る範囲で商材や店舗を広げていきます」