「表現の不自由展」中止問題 津田大介氏が会見(全文1)海外作家から不満の声
河村市長が大村知事に抗議文を提出
レセプションには名古屋市の河村市長も訪れ、スピーチを行いました。おそらく河村市長は、このときにはこの企画のことをご存じなかったんでしょう。非常にスピーチとしては、なんて言えばいいんでしょうかね。「燃えよドラゴンズ!」を歌って、かなり楽しげにこのスピーチ、お祭りとして盛り上げようというような、そういうスピーチでした。 そのこと自体がこの31日、1日大きく報道されて、そしてネットでも問題視されて炎上するようになりました。そして8月の2日に名古屋市の河村市長が展示場所を訪れました。展示を見ていただいた上で、ここに置かれている「少女像」の展示中止を求めるということで、愛知県知事、大村知事宛に抗議文を提出したそうです。 また、維新の松井一郎大阪市長、そして吉村大阪府知事もTwitterで不快感を表明しました。2日には、同じ日、菅官房長官の閣議後の会見で、この企画について質問が出て、この「あいちトリエンナーレ」が文化庁から補助金を受けていることについて精査するというコメントも出しました。 これは1日から事務局には抗議のメール、そして抗議の電話、かなり強い口調、そして脅迫のような電話が集中して、事実上のパンク状態になりました。「あいちトリエンナーレ」の2週間前にはガソリンで京都アニメーションが放火されるというテロ事件も起きました。この2日の早朝にはこの事務局にガソリンテロを予告する脅迫のFAXも届きました。
大村知事が政治家の干渉は憲法違反ではないかと指摘
そうしたこともあって、このままでは円滑な運営が非常に困難であるというふうに大村知事が判断し、僕もそれに同意をして3日でまずは「表現の不自由展」を中止するという判断をしました。 中止したあとも事態はどんどん動きました。8月の5日ですかね。大村知事が、河村市長、そして松井一郎市長や吉村知事などの、いわゆるこういった政治家による行政の文化事業に対する内容の干渉ということが、これは憲法21条の違反ではないかということを大村知事が記者会見で表明しました。 「あいちトリエンナーレ」は愛知県と名古屋市の共催事業です。その共催している知事と市長が内容を巡ってこういう憲法で論争をしているという、非常に今、政治問題化しているという状況です。 他方で、この3日間での、この作家に対してきちんと連絡もなく中止をした、結果的にこれが検閲になってしまった、検閲のように見えてしまったということで、海外の作家からどんどん不満の声が出てきました。この間、海外のアーティストたちとはかなり話し合いは進めたんですけれども、やはりこの検閲された、展示を中止された作家に連帯するということで、自分たちは展示をボイコット、あるいは展示の内容を変更するということで11の作家が現在、展示内容を変更、あるいは中止ということになっています。海外、とりわけ中南米系の作家がボイコットの動きの中心ではあるんですけれども、最近日本人の田中功起さんがそのボイコットの動きに加わりました。 【書き起こし】「表現の不自由展」中止問題 津田大介氏が会見 全文2に続く