〈倍速老化の恐怖〉痛みがまったくないのに体の中は地獄絵図…急に老け込む人に見られがちな6つの病態、その真犯人とは
自分の免疫で自分の細胞を攻撃する状態にも
高齢になると、体を動かす機会が減ったり体の可動域が狭まったりして、動かしにくくなるという問題が生じますが、その最初の段階には「動かない」ではなく「動かしていない」ことがあるはずです。このときに制御免疫が働けず、攻撃免疫が暴走して攻撃を続ける免疫暴走状態が起きてしまうことに。 また、免疫暴走を抱えていると、リウマチを発症するケースもあります。リウマチは遺伝的要因や環境的要因に加え、免疫系の異常が複雑に絡み合って発症するものです。 たとえば遺伝的素因を持っている人が、喫煙や感染症などのきっかけで免疫のバランスを崩すと、自分の免疫で自分の細胞を攻撃する、つまりリウマチとなってしまうことがあるのです。単なる関節痛なのかリウマチなのか、自己判断は難しいため、病院で検査をして確認することをおすすめします。
免疫暴走から肥満に至るケースも
【肥満】 過食や運動不足などで肥満になると免疫暴走が起こるのですが、逆に、免疫暴走から肥満に至るケースも増えてきています。 まず、炎症性サイトカインには脂肪細胞の分化を促すはたらきがあるため、脂肪組織が増えていきます。また、細胞に糖を取り込ませるインスリンのはたらきが阻害されるため血中に糖があふれて高血糖になり、その糖は脂肪へと蓄積される一方に。ホルモンバランスも崩れ、満腹感をもたらすレプチンというホルモンのはたらきが阻害されてしまうと食べても満腹感を得られず、過食になるのです。 加えて免疫暴走状態だと、エネルギー産生をしているミトコンドリアにも負担がかかるためエネルギー不足になり、糖や脂質の消費量も減ってしまいます。 このようにして肥満が引き起こされることもあるのです。
動脈硬化にご用心
【動脈硬化~心筋梗塞、脳梗塞】 世界で最多の死者数を叩き出している病気は「虚血性心疾患」ですが、免疫暴走はそのもととなる動脈硬化にも関わっています。 血中に活性酸素や悪玉コレステロールが増えてくると、活性酸素がつけた血管壁の小さな傷にコレステロールが入り込み、ふくらんでしまいます。こうして血管が狭まるのが動脈硬化の始まりですが、体内が免疫暴走状態だと動脈硬化は悪化するのです。炎症性サイトカインが出ることで、より血管壁が傷ついたり、悪玉コレステロールが酸化したりするからです。 もともと攻撃免疫は、血液中を漂っているコレステロールを異物とみなして攻撃しているわけですが、この血管壁のふくらみも異常とみなすため血管壁に入り込んでコレステロールを抱え込むように。すると、ふくらみが大きなコブのようになってしまうのです。これをプラークと呼びます。 また、攻撃免疫がコレステロールに対応しているあいだも炎症性サイトカインは出続けるため、血管は傷つく一方に。プラークも攻撃免疫をおびき寄せるため、どんどん大きくなっていき、動脈硬化が加速してしまいます。 こうしてプラークがパンパンに大きくなるとやがて破裂し、傷口をふさぐために血のかたまりができて血管の詰まりを起こすのです。これが心臓で起これば心筋梗塞、脳で起これば脳梗塞ということになります。