「キャラクターを自分に引き寄せていく」竹内涼真が語る「実写化の醍醐味」
愛情を探し続ける旅が描かれている
――キャラクターを自分の中に落とし込んで、改めて再構築する。役を引き寄せる上でヒントになったことは? 「桐生一馬を演じるために考えたことすべてが役作りにつながっていたと思います。彼の人生や言動の裏にある背景について、どれだけイメージを膨らませられるかが勝負でした。その取っ掛かりにしたのは、彼に対する『なぜ?』を掘り下げていくこと。なぜ背中に龍の刺青を彫りたかったのか? なぜ彼は優しいのか? なぜ彼は戦い続けなきゃいけないのか?って。 彼を形作る要素として大きかったのは、親からの愛情を知らずに児童養護施設で育ったことでした。施設で一緒に育った、桐生と錦山(賀来賢人)、由美(河合優実)、ミホ(中山ひなの)の4人は本当の家族になりたくて、神室町という街に飛び込んでいく。ただ、神室町は弱肉強食の世界ですし、脆さや弱さを隠さないとあの街では生きていけなかった。社会の闇や人間の汚さに翻弄されながらも、桐生は強くならなきゃいけなかっただけで、本来は脆くて、弱くてダサい奴なんだと演じながら思ったんです。 愛情に飢えている部分もグッと自分の中に抑え込んでいる。でも、やっぱりどこか無意識的にいつも本当の愛を求めている。僕からすれば、この作品は暴力やアクションではなく、愛情というものを探し続ける旅が描かれているドラマだと思います」 ――桐生一馬の中にある愛情に対する焦燥感を理解するとき、何を手がかりに? 「自分の中の感情ですね。愛情に飢えるときって、自分が与えたとしても返ってこなかったときだと思うんです。誰にでもあることだと思うんですけど、これだけ愛情を注いでいるのに、なんでわかってくれないんだろうともどかしくなる、そんな自分の中にある感情とすり合わせることで桐生一馬を近くに感じられたような気がします。 今回の作品だけではないですが、役を演じるときは感情が伴っていないと嘘になってしまう気がしていて。もちろん想像の世界ではあるけれど、嘘にはしたくない。だから自分の感情とつなげてしまえば、そこにリアリティを伴うし、本当になるから、と思いながら常に演じています」