「みたらしバターサンド」が大ヒット 京都の和菓子店『梅園』…100年の歴史を変えた跡継ぎ娘の挑戦 両親の反対押し切り百貨店進出、働き方改革も
<strong>念願の入社後、早々に訪れた挫折。悔しさをバネに新店舗をオープン</strong>
念願の梅園に入社した葵。「歴史を守ることも大事やけど、新しいメニューがないのはつまらない」と売上アップを狙い、これまでにない斬新な新メニューを次々と開発し、販売を始めました。しかし、結果は惨敗。常連のお客様はご年配の方が多く、「いつものみたらしが食べたい」と入店した時点で注文が決まっている人ばかり。葵は入社早々初めての挫折を味わいます。 悔しい思いをした葵は、新しいメニューも注文する客層を取り込もうと新店舗設立を決意。ちょうど学生の頃はカフェブームで、『カフェ行こう』と考えた時の選択肢に梅園は入らなかったことを思い出し、カフェスタイルの店舗で新メニューを出すことを考えます。 そして、この計画が両親に反対されることも想定済みでした。説得するため物件や内装など細部に至るまでしっかりと準備。計画を固めてから提案した結果、熱意が通じて無事に認めてもらうことができ、2010年に【うめぞのCAFE & GALLERY】をオープンさせました。 葵の狙い通り、【うめぞのCAFE & GALLERY】には若者客が訪れ新メニューも評判を得ます。カフェの一番人気メニュー『抹茶のホットケーキ』は、和のテイストとメレンゲを使ったふわふわ感を感じてもらうべく、「お箸で食べる」という驚きのスタイル!普段試作で食べていたスタイルをそのまま提供し、その食べやすさも相まって人気メニューとなりました。
三代目になった葵!労働環境改善にも取り組む跡継ぎ娘の止まらない快進撃
精力的な活動が両親に認められ、2014年に三代目を継いだ葵。経営者として次なる改革を行うため、社員に聞き取りを行ったところ「ギリギリの人数で働いているから、繁忙期に風邪をひいたりしても休めない…」との声が。ここで労働環境の改善が必要と気付かされます。 葵は一人当たりの負担を減らすべく、従業員の人数を増やすことを決意。人を増やすためには新店舗の設立と売り上げを上げることが必要になるため、少人数でも売り上げを伸ばせる百貨店への出店を目指すことになりました。 しかしその壁は高く、高望みはするなという両親の説得により断念。かと思いきや、葵の「何か問題が起こったら解決したい」という性分は変わりません。どうすれば百貨店に進出できるのかを考え、百貨店で扱われる商品は贈答用で日持ちすることに加え、年齢層の高い方向けの高級感が必要だと考えます。 そこで、葵は2016年に百貨店進出を見据えた新店【うめぞの茶房】をオープン。餡をわらび粉と葛で固めた『かざり羹』という創作和菓子を販売し、百貨店進出の足掛かりをつくります。