戦力分析/中 打力 3選手、長打率5割台 得点力アップに期待 /兵庫
<第91回選抜高校野球> 「二枚看板」を擁する強力投手陣とは対照的に、今年のチームは打線の印象が今一つ弱い。だが、本当にそうか。昨秋の公式戦データを基に、真の実力を測ってみた。 まず目を引くのは、3番に座る主将の重宮涼三塁手(2年)の抜きんでた数字だ。打率は4割8分6厘とチームでただ一人、4割台に乗せた。近畿地区のセンバツ出場6校のうち、一定の打数(試合数×2)に達した計51人の中で、堂々の4位にランクインした。 さらに長打率、出塁率とも5割を超えてチームトップ。二つの数字を足した打撃指標「OPS」も1・121に達し、プロ野球なら「超一流の証し」とされる1を大きく上回った。 2番の水上桂捕手(2年)は打率3割5分5厘とチーム2位の成績を残した。長打率も5割を超え、単なる「つなぎ役」にとどまらないスケールの大きさを見せつけた。 4番の安藤碧外野手(2年)は打率こそ3割に届かなかったが、打点はチームトップの8を記録。出塁率が高い2、3番がチャンスを広げ、4番が勝負強い打撃で還す得点パターンが浮かび上がる。 注目すべきは、下位で打つ河野光輝遊撃手(2年)の存在だ。打率は3割4分6厘、長打率と出塁率はともに5割で、OPSは重宮主将に次ぐ1だった。チームトップの8四死球からは、選球眼の良さもうかがわせる。河野選手が下位にいるからこそ、打線がきっちりとつながっている。 野手のレギュラーで唯一の1年生、来田涼斗外野手は秋の公式戦9試合に1番打者でフル出場。打率は2割4分3厘にとどまったが、近畿大会準決勝の智弁和歌山戦では本塁打を含む3長短打と大爆発し、素質の高さを見せつけた。 5番の溝尾海陸外野手(2年)も打率が2割台だった。だが、県大会決勝の神戸国際大付戦では九回裏にチームをサヨナラ勝ちに導く押し出し四球を選ぶなど、随所で粘り強さを発揮した。 投手陣の陰に隠れがちではあるが、打線はきっちりと機能していることがデータから読み取れる。あとは来田、溝尾の両選手に当たりが戻れば、得点力アップが期待できる。 ……………………………………………………………………………………………………… ■明石商の個人打撃成績■ <対象=昨秋の県大会と近畿大会の計9試合> 打順 打数 安打 打点 本塁打 四死球 犠打 打率 長打率 出塁率 OPS 1来田涼斗 37 9 5 1 7 0 .243<10> .486<4> .364<9> 0.850<5> 2水上桂 31 11 4 1 4 7 .355<2> .516<2> .429<5> 0.945<3> 3重宮涼 35 17 5 0 5 3 .486<1> .571<1> .550<1> 1.121<1> 4安藤碧 37 11 8 0 5 1 .297<6> .432<6> .381<7> 0.813<6> 5溝尾海陸 31 8 6 0 6 3 .258<9> .323<10> .378<8> 0.701<8> 6河野光輝 26 9 4 0 8 5 .346<3> .500<3> .500<2> 1.000<2> 7岡田光 27 7 5 0 2 4 .259<8> .370<7> .310<10> 0.681<9> 8清水良 9 3 0 0 2 1 .333<4> .444<5> .455<4> 0.899<4> 9宮口大輝 18 4 4 0 0 2 .222<11> .333<8> .222<12> 0.556<11> 水田彩斗 17 5 1 0 0 2 .294<7> .294<11> .294<11> 0.588<10> 中森俊介 7 0 0 0 6 0 0<13> 0<13> .462<3> 0.462<12> 横山虎太郎 5 1 1 0 0 0 .200<12> .200<12> .200<13> 0.400<13> 岡部宇裕 6 2 0 0 1 0 .333<4> .333<8> .429<5> 0.762<7> ※1打席以上を記録した13選手が対象▽打順は近畿大会決勝の打順▽黒丸数字は各項目のチーム内順位 【長打率】塁打(単打×1+二塁打×2+三塁打×3+本塁打×4)÷打数 【出塁率】(四死球+安打)÷(打数+四死球+犠飛) 【OPS】長打率+出塁率 ……………………………………………………………………………………………………… ■近畿地区センバツ出場6校の打率ベスト10■ 打数 安打 打率 (1)綾原創太(智弁和歌山) 19 10 .526 (2)根来塁(〃) 18 9 .500 (2)細川凌平(〃) 26 13 .500 (4)重宮涼(明石商) 35 17 .486 (5)池田凛(履正社) 21 10 .476 (6)山野雄也(市和歌山) 32 15 .469 (7)水谷祥平(龍谷大平安) 38 17 .447 (8)緒方隆之介(市和歌山) 29 12 .414 (9)佐藤翔平(福知山成美) 39 16 .410 (10)小橋翔大(〃) 27 11 .407 (10)下井田知也(市和歌山) 27 11 .407 ※昨秋の各府県大会と近畿大会に出場した選手のうち、一定の打数(試合数×2)に達した計51人が対象 〔神戸版〕