J1神戸の試み「センキョ割優待企画」に賛同 スポーツ界から“何か”を発信する意義は大きい
【スポニチ蹴球部コラム Footひと息】「はたらけどはたらけど猶わが生活(くらし)楽にならざり」とは、かの有名な詩人・石川啄木の一握の砂の一節だ。メディア業界もご多分に漏れず。私の所得も上がらず、つい手を見てしまう。所得が右肩上がりになっている欧米諸国と違い、日本経済は30年間ほぼ横ばい状態。その原因は…メディアの世界にいるので言いにくいけどメディアと、そして政治にあると思う。 27日に投開票された第50回衆議院議員選挙は投票率が53・85%。21年の55・93%を下回った。特に20代、30代の投票率が低かったという。もちろん、政治への不信感が投票所への足を遠のかせていることは想像に難くない。加えてSNS全盛期。なぜか日本では政治の話はタブーとされ、自らの意見を述べればメディアによって定義された「右派・左派」かの極端な区分けをされ、自らと異を唱える者は徹底的に糾弾される。でも、それでも国をつくるのは国民一人一人の行動、意識だと思う。 だからこそJ1神戸の試みには大いに賛同する。「センキョ割優待企画」と題し、18歳から29歳までの投票者200人(予定)を対象にしてリーグ磐田戦(11月2日)のチケットを特別価格で発売。若者の社会参加と地域活性化を促した。G大阪のGK東口順昭もSNSで「明日投票に行くぞ」とつぶやいた。それに反応するサポーターも見られた。かつて米国大統領選でドジャースタジアムが投票所になったこともある。たかが一票で何か変わることはないが、まずは票を投じないことには何も変わらない。時どき「スポーツ選手は政治に口を出さず、スポーツだけやればいい」などと揶揄(やゆ)されたりもするが、スポーツ界から“何か”を発信する意義は大きいと思う。 政治に何を望むのかは個々人で違う。誰に投票しようと、考えた結果ならば受け入れるべきで尊重されるべきだ。そして、いち国民として願うのは一部を利する施策ではなく、日本経済界が豊かに、強くなる政策。手のひらを見なくてもいいように。 (飯間 健)