「僕の母を象徴しているのかも」イ・ギュハン“ギヨン”の犯行動機が明らかになっていく<ずっとあなたを待っていました>
オンライン動画配信サービス「Hulu」にて、全話独占配信中のHuluプレミア「ずっとあなたを待っていました」。第8話では、警察と検察によるヨンジュ(キム・ジウン)の救出劇が描かれた。本記事では、考察を踏まえながら第8話を振り返る。(以下、ネタバレを含みます) 【写真】緊迫感漂う…スーツ姿で拳銃を構えるクォン・ユル“ヨンウン” ■「ずっとあなたを待っていました」とは 本作は、韓国で注目の若手俳優とベテラン俳優が一堂に会することで話題を呼んだミステリーサスペンスドラマ。ある日、50年間大きな事件が起きていない平和な町で殺人事件が発生し、血気盛んな地元の刑事オ・ジンソンは、検事たちと共に捜査を開始する。そんな中、彼の家族が事件に巻き込まれてしまう。そして事件の真相を追い求めるごとに、自分の家族の隠された秘密や欲望が明らかになっていき、オ・ジンソンは衝撃の真実へとたどり着く――。 キャストには、「哲仁王后 ~俺がクイーン!?~」などのテレビドラマを始めバラエティ番組でも活躍が目覚ましい俳優ナ・イヌが主演の刑事オ・ジンソン役に抜擢。また、「アゲイン・マイ・ライフ ~巨悪に挑む検事~」といった話題作に出演し、注目の若手の1人とされるキム・ジウンが検事コ・ヨンジュ役を、「ダリとカムジャタン~真逆なフタリ~」のクォン・ユルがヨンジュの同僚検事のチャ・ヨンウン役を、ボーイズグループ・NU'ESTのレンがジンソンの弟・ジヌ役を務めている。 その他にも、ドラマ「愛の不時着」や映画「パラサイト 半地下の家族」などのヒット作に出演するチャン・へジンが主人公の母親ホン・ヨンヒ役を、時代劇「鉄の王 キム・スロ」やドラマ「優雅な一族」など数多くの作品に出演するぺ・ジョンオクがヨンウンの母親ユ・ジョンスク役を演じる。 ■ミンギュのもとから脱出を試みるヨンジュだったが… 前話で、ヨンジュ(キム・ジウン)はミンギュ(チョン・サンフン)に拉致されてしまい、必死に行方を探すジンソン(ナ・イヌ)。ペ議員の運転手から、ミンギュに“配達業者を装ってヨンジュの居場所を聞け”と頼まれていたことを聞き出す。 一方、検察庁はギヨン(イ・ギュハン)が潜伏しているであろう別荘の捜索をしていると、ペ議員の運転手の妻名義である別荘を発見し、ヨンウン(クォン・ユル)はそこへ直接向かうことにする。 その頃、ミンギュの車の中で目を覚ましたヨンジュは、隙をついて自分が着ていたカーディガンをミンギュの顔に被せ、わざと事故を起こさせる。ヨンジュはミンギュが気を失っている間に車から脱出し、通りすがりの車に助けを求め乗り込む。しかし、乗り込んだ車を運転していたのは、あのギヨンだった――。 その後ミンギュの事故車を発見したヨンウンたちは、一刻も早く逮捕するため別荘へと急ぐ。しかしそこにいたのは全く知らない男女の姿。ヨンジュの捜索が頓挫して怒りを抑えられないジンソンは、ヨンウンとともにヨンジュを見つけ出すと誓うのだった。 一方のギヨンたちは、“チャ・ヨンウン”という表札がかけられた別の一軒家にいた。ギヨンは「確実に犯人だけど逮捕できないのが完全犯罪だ」と、今後の逃亡計画についてミンギュに話す。 その内容とは、ヨンジュを始末した後、ムスリム教徒に変装して出国し、事件が忘れ去られた頃に帰国。そして専制君主制を取っているサウジアラビアで、ギヨンの知り合いの王族の助けを借りて“偽の身分証”を作り、犯罪人引き渡し条約がないベラルーシに渡るというものだった。ギヨンの計画を聞いたミンギュは喜びの表情を浮かべる。 ■徐々に明らかになる“ギヨンの目的” 捜索が行き詰ったジンソンは、ふとギヨンの家に置いてあった“庭のプールサイドに座る2人の少年”の写真を思い出す。この写真はヨンウンの部屋に唯一なかったもので、不思議に思ったジンソンがギヨンの家を訪れると、ちょうどヨンウンがプロファイラーを連れてやって来る。 プロファイラーは部屋の中を見回り、ふと1枚の絵画に目を留める。そして絵画の持つエピソードから、犯罪の動機は“過度な母性愛に対する懲罰”と推測し、ギヨンがヨンウンと同じ部屋を作ったことで“自分はヨンウンと同等だ”と示したかったのではないかと話す。 するとヨンウンは、母・ジョンスク(ぺ・ジョンオク)の自分への異常な愛情を、ギヨンが不思議そうに見ていたことを思い出し、「犯行動機が僕と関係があるなら、これは僕の母を象徴しているのかも」と呟く。さらに、一軒家のプールで撮られた写真は、2人が水泳で競争し、ギヨンがヨンウンに勝った時の写真だったため、その一軒家にギヨンがいると思ったヨンウンたちは慌てて車を走らせる。 その頃ギヨンは地下牢にヒジュとミンギュを監禁し、ヨンジュを椅子に縛り付けたまま外のプールへと連れて行く。そしてプールに水を入れ始めると、身動きが取れないヨンジュに対し「1時間後には満水になる。ヨンウンは君を助けられるかな?」「幸運を祈るよ」と言い残してその場を去っていく。 その後、別荘にたどり着いたジンソンとヨンウンは、間一髪のところでヨンジュとヒジュの救出に成功し、ミンギュを手錠にかけた。しかし肝心のギヨンはすでに逃走しており、空港で偽のパスポートを使い出国審査をしていた。上手くいったかのように思えたギヨンの逃亡劇だが、手続きを終えたギヨンにチンジンメディカルセンターのスタッフが近づき、首元に薬のようなものを打つ。そしてギヨンは次第に意識が薄れていくのだった――。 ■ギヨンは“ジヌの死”に関係があるのか…? 第8話で分かったことは、やはり足首切断の殺人事件の犯人はギヨンだったということと、その犯行目的は単なるヨンウンへの劣等感ではなく、母親・ジョンスクのヨンウンへの愛に対する懲罰ということだ。 幼い頃母親に捨てられたギヨンは“母親からの愛情”に飢えており、ジョンスクからの愛情が欲しかったのではないだろうか。拘束したヨンジュに「俺がヨンウンだ」と話していたシーンがあったことからも、ギヨンは“母親に愛されているヨンウン”になりたかったのかもしれない。 そしてここで気になるのは“ジヌの死”について。ジヌ(レン)は足首が切られたわけでもなく、襲われた末に脳死した。ジヌを殺したのはギヨンではなく他に犯人がいるのだろうが、一体それは誰なのか、そして動機は何なのか…。 また、チンジンメディカルセンターが警察や検察より先にギヨンを見つけようと必死なところも気になる。ジョンスクの命令によるものなのかもしれないが、ジョンスクがギヨンを傍に置いておきたい理由が何かありそうでならない。 ◆文=ザテレビジョンドラマ部