肥後銀行、介護事業者を金融支援 SPC設立で事業拡大を後押し
肥後銀行は、熊本市東区に新設された住宅型有料老人ホームを金融面で支援する。芙蓉総合リース(東京)など複数の企業と共同で土地や建物を管理する特別目的会社(SPC)を設立し、介護事業者の財務負担を軽くする。肥後銀によると、介護分野でのSPC活用は全国的にも珍しいという。 支援の対象は、9月にオープンした「メディケア癒やし長嶺」。313室の大規模な施設で、土地と建物を合わせた投資規模は約30億円。介護事業者の負担を軽減して事業拡大を後押しするために、SPCが肥後銀から借り入れて投資する。SPCは介護事業者と施設の賃貸借契約を結んで賃料を受け取り、肥後銀に返済する。 肥後銀にとってはSPCの枠組みを利用することで融資額が少なく済み、貸し倒れリスクを抑えられるメリットがある。 「メディケア癒やし長嶺」は全ての居室に見守りセンサーを設置するなど、デジタル技術の導入に力を入れている。長嶺を含む県内3施設を運営するリプレシェアホールディングス(熊本市)の国中優治社長(51)は「200床以上の老人ホームを造るには、一般の融資では要件が厳しくハードルが高い。多額の借入金を持つよりも、賃料として毎月払う方が資金繰りも楽になる」と話している。(田代智也)