【Playback箱根駅伝】第73回/神奈川大 総合力で初のV 出場29回目で栄冠
2024年に箱根駅伝は第100回大会を迎える。記念すべき100回に向けて、これまでの歴史を改めて振り返る『Playback箱根駅伝』を企画。第1回大会から第99回大会まで、大会の様子を刻んでいく。(所属などは当時のもの) 第73回箱根駅伝総合成績をチェック
第73回(1997年/平成9年) 山梨学大・中村が雪辱の2区区間賞 駒大が復路V
出雲駅伝で上位を占めた早大と中大、全日本大学駅伝で1位、2位だった神奈川大と山梨学大が優勝候補に挙げられた第73回大会。前年まで47回連続出場中だった古豪・日大が予選落ちを喫した一方で、拓大が13年ぶりに予選会突破を果たした。 1区では山梨学大のソロモン・ワチーラ(2年)が序盤で抜け出して独走態勢を作ったが、16.7kmで集団に吸収。区間賞争いは6人に絞られ、早大の梅木蔵雄(3年)がトップで鶴見中継所に飛び込んだ。2位は大東大(萩原英之/2年)、3位は神奈川大(高津智一/3年)、4位は東洋大(永井謙二/4年)と続いた。 2区では前回大会でまさかの途中棄権に泣いた山梨学大の中村祐二(4年)がすばらしい走りを見せた。強烈な向かい風の中を突き進み、9位から8人をゴボウ抜き。区間2位に1分以上の差をつける区間賞の走りで首位へ浮上した。 山梨学大は3区でも松下康二(1年)が区間1位の走りで首位を疾走したが、4区では神奈川大の藤本大輔(4年)が区間2位の好走で山梨学大を逆転。小田原中継所では1分23秒差をつけた。後続は熾烈を極め、2位に上がった早大から3位の大東大、4位の山梨学大、5位の中大までが2秒差という大接戦。なお、この区間を制した中大の榎木和貴(4年)は史上14人目となる4年連続区間賞を達成した。 5区でも神奈川大が首位を独走。1年時からこの区間で区間2位、1位、2位とずば抜けた安定感を見せてきた近藤重勝(4年)が2度目の区間賞で初の往路優勝テープを切った。往路2位は2分08秒差で中大、3位が大東大、4位早大、5位山梨学大と続いた。 神奈川大は復路でもブレーキすることなくタスキをつなぎ、最後は10区の今泉勝彦(4年)が区間賞の走りで初の総合優勝を決めた。1区から10区まで区間3位以内が8人、残り2人も同4位、5位という圧勝劇だった。 2位争いは復路で激しく順位が入れ替わり、8区で古田哲弘(1年)の区間新記録があった山梨学大が総合2位を確保。大東大が連覇を果たした1991年以来となるトップ3を果たし、前回1位、2位だった中大と早大が4位、5位と続いた。 6位は6区以降の5人全員が区間2位という成績で初の復路優勝を飾った駒大。大八木弘明コーチの就任2年目で大きな成果をあげた。7位の東洋大は12年ぶりのシード権獲得。前回3位の順大はぎりぎりシード権確保の9位と苦戦したが、9区の浜野健(4年)が区間新記録と見せ場を作った。そのほか、11位の専大は6区の小栗一秀(4年)が4度目の山下りで区間記録を14秒更新する新記録を樹立した。
月陸編集部