「睡眠薬で爆睡し翌朝スッキリ覚醒する」は無理な注文…スタンフォード式の睡眠薬の正しい飲み方危ない飲み方
■難しいのが病院選び 根気よく探すしかない 今は「睡眠外来」というような専門の病院もありますが、不眠があって睡眠薬を処方してほしいという場合、最初の病院選びが難しいかもしれません。先に述べたように、不眠の原因は一つではないからです。 短期の不眠症で、2~3日睡眠薬を飲んで、あとはもう使いません、というような飲み方であれば、近所の内科で処方してもらってもかまわないと思います。しかし50~60代ともなると人生が複雑になっていますから、不眠の要因も複雑です。さらに、うつ症状や不安も多くみられるようになります。 明らかに精神的なものが原因で眠れない場合は精神科の医師にかかったほうがいいでしょう。うつ症状や不安を治療することで不眠症もよくなることが期待できます。 しかし、誰が「あなたは別の病院に行ったほうがいいですよ」とアドバイスするかというと、そこがなかなか難しい。睡眠専門医が、「あなたは○○科へ行ってください、あなたは○○科がいいでしょう」と振り分けられればいいのですが、実は睡眠とか不眠症についてはあまり医学部でも教えないのです。したがって、「どうして眠れないのか」を自分で考え、自分に合った医師を探していくしかないこともあります。 トライアル・アンド・エラーを繰り返すしかないかもしれませんが、根気よく探してみてください。 ※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年7月5日号)の一部を再編集したものです。 ---------- 河合 真(かわい・まこと) 米国スタンフォード大学 睡眠医学センター クリ ニカルアソシエイトプロフェッサー 米国スタンフォード大学 睡眠医学センター クリニカルアソシエイトプロフェッサー。1997年京都大学医学部卒業、トヨタ記念病院統合診療科医長などを経て、2013年よりスタンフォード大学 睡眠医学センターで勤務。著書に『睡眠専門医がまじめに考える睡眠薬の本』(丸善出版)。 ----------
米国スタンフォード大学 睡眠医学センター クリ ニカルアソシエイトプロフェッサー 河合 真 構成=長山清子