2023年度の「不適切会計」開示は58社・62件 3年連続で増加、業種別ではサービス業が最多
開示企業数 2023年度は58社(62件)
2023年度に不適切会計を開示した上場企業は58社で、ITbookホールディングス(株)(東証グロース)、(株)ラックランド(東証プライム)、(株)建設技術研究所(東証プライム)、東京産業(株)(東証プライム)の4社は、それぞれ2023年度内に2件、開示を行った。 2024年3月26日、証券取引等監視委員会は移動体通信機器販売等の(株)サカイホールディングス(東証スタンダード)に対し、有価証券報告書等に虚偽を記載したことにあたるとして課徴金3,000万円の納付命令を勧告。金融庁はこれをうけ5月16日、サカイホールディングスに対し、課徴金納付を命じた。これは同社の連結子会社が売上の前倒しによる売掛金の過大計上および売上の架空計上の不適正な会計処理を行い、過年度の有価証券報告書等の訂正報告書を提出したため。 上場企業は2021年度までは海外子会社や関係会社で不適切会計の開示が多かったが、2023年度は国内外連結子会社などの役員や従業員による着服横領が目立った。
内容別 「誤り」が最多の30件
内容別では、最多は経理や会計処理ミスなどの「誤り」で30件(構成比48.4%)。次いで、子会社・関係会社の役員、従業員の「着服横領」が21件(同33.9%)だった。 「会社資金の私的流用」など、個人の不祥事も監査法人は厳格に監査している。「架空売上の計上」や「水増し発注」などの「粉飾」は11件(同17.7%)だった。 証券取引等監視委員会は2024年1月23日、ITbookホールディングス(株)(東証グロース)が金融商品取引法の開示規制に違反したとして、1億929万円の課徴金納付命令を出すよう金融庁に勧告。金融庁は同年3月15日、同社に課徴金納付を命じた。
発生当事者別 「会社」が26社でトップ
発生当事者別では、最多は「会社」の26社(構成比44.8%)だった。「会社」では会計処理手続きなどの誤りが目立った。次いで、「子会社・関係会社」は17社(同29.3%)で、売上原価の過少計上や架空取引など、見せかけの売上増や利益捻出のための不正経理が目立った。 「従業員」は13社(同22.4%)で、外注費の水増し発注を行ったうえで、その一部をキックバックし私的流用するなどの着服横領が多かった。