わが家は節約上手か使い過ぎか 収入・貯蓄・生活費…年代別「お金の最新事情」はナンボ
「働けど働けどなおわが暮らし楽にならざり……」。石川啄木の短歌じゃないけれど、この数年、物価高に直面し生活は苦しくなるばかり。大企業の給与は上がっているらしいが、庶民の実感は薄い。お金の最新事情を大調査してみた。 【写真】養子先から15億円相続…カスタネット芸人・前田けゑさんは今、スマートなヤリ手実業家 ◇ ◇ ◇ やっぱりね……という統計がある。今月9日に発表された厚労省の「毎月勤労統計調査」(3月分速報)。実質賃金が24カ月連続でマイナスとなったのだ。過去最長となる不名誉な記録で、円安による輸入物価上昇の影響が大きい。 実質賃金とは、実際に受け取った収入(名目賃金)から物価上昇分を除いたもので、物価上昇(もしくは下落)の影響を考慮した数値。収入が3%アップしても、物価が5%アップしたら実質賃金はマイナスになる。 平たくいえば、給与はちょっぴり増えたけど肉や野菜など食品の値段はもっと上がっているので、生活は苦しくなるばかり……。それが24カ月(2年間)も続いているというわけ。 「ウチの旦那の会社は業績が悪いらしく、給与は増えるどころか減っています。そこに物価上昇が直撃だからたまったもんじゃありません。毎日、夜の8時半過ぎに近所の食品スーパーに行って、30%引きや半額シールが貼ってある総菜や肉、魚、野菜を探しています。翌日の食事分です」(50代後半の主婦)
1カ月の世帯収入、60代は49万円
家庭ごとに事情は異なるが、「ほかの家はどのぐらい収入があって、何にお金を使っているの?」は気になるところ。家計調査(総務省)から実態を探ってみた。 1カ月の世帯収入(2人以上の勤労世帯)はどうなっているか。2023年平均を世帯主の年代別に見ると、29歳以下はおおよそ50万円で、30代58万円、40代66万円、50代69万円、60代49万円、70歳以上42万円だ。「意外と多い?」と感じるかもしれないが、これはあくまで世帯収入。夫婦共働きは結構いるし、家賃収入などを得ている資産家も含まれる。 配偶者の収入は29歳以下~50代で10万円を超す。60代は約6万円ある。夫婦で必死に働いても、ベラボーな物価上昇には追いつかない。それが現実のようだ。 ■70歳以上の貯金平均は2630万円 貯蓄はどれぐらいか。家計調査の最新統計(23年7~9月期、2人以上世帯)によれば、29歳以下は259万円、30代794万円、40代1193万円、50代1672万円、60代2437万円、70歳以上2630万円。そのうち通貨性預貯金(普通預金など出し入れ自由な預貯金)は29歳以下から順に171万円、393万円、544万円、621万円、831万円、763万円となっている。こちらも「そんなに多いの?」と焦る人がたくさんいそうだが、別な統計もあるので安心してほしい。 家計の金融行動に関する世論調査(23年、金融広報中央委員会)は年代別の中央値を算出している。中央値は上から並べていって、ちょうど真ん中にあたる人(世帯)の数値。数十億円の貯蓄を持つ超大金持ちの影響を極力除くことができる。平均的な家庭の実態に近い数値だ。 その中央値を見ると、20代は30万円で、30代150万円、40代220万円、50代300万円、60代と70代は700万円となっている。これより多ければ、まあひと安心といったところか。