腸活に欠かせない食物繊維 「発酵性」に注目 京都府立医科大学大学院・内藤裕二教授インタビュー
「腸活」に欠かせない食物繊維。とりわけ腸内細菌による「発酵性」がいま注目されています。この分野に詳しい京都府立医科大学大学院の内藤裕二教授（生体免疫栄養学）が、Reライフの会員コミュニティー「読者会議」（登録無料）メンバーの質問に答えました。
腸内細菌のエサになる食物繊維
――「食物繊維は大切といわれるが、腸内細菌との関係は？」（70代男性）という質問が届いています。 人間の大腸には約1000種類、約100兆個の腸内細菌がすんでいます。「腸活」とは、腸内環境をよくすること。そのためには、多様な細菌を腸内で生かしておくことが大切です。その細菌のエサになるのが食物繊維です。 ビフィズス菌などの腸内細菌がつくり出す「短鎖脂肪酸」という物質は、腸だけでなく全身にもよい影響を与えることが研究からわかってきました。食物繊維は、この短鎖脂肪酸を生む腸内細菌のエサにもなるから重要です。 ――「1日にどれくらいの量の食物繊維をとればいい？」（50代女性）という声もあります。 世界保健機関（WHO）は「10歳以上は1日あたり25グラム以上をとりましょう」としています。しかし、日本人の大人は少なくとも5グラム程度不足しています。若い世代は10グラムほど足りません。 食物繊維をしっかりとることで、2型糖尿病、胃がん、乳がん、脳卒中、心筋梗塞など、さまざまな病気のリスクを抑えられます。食物繊維の効果は便通改善や大腸がん予防くらいと以前は考えられていました。しかし近年、腸内細菌が生み出す物質の研究が進み、多くの病気や体の機能との関係がわかってきました。 ――「どんなものを食べるべきなのか。冷凍野菜でもよいのか？」（80代男性）との疑問も出ています。 おかずからとれる食物繊維は意外と少ないので、主食を変えましょう。1日3食のうち1食は「茶色」系統にするのがいい。たとえば玄米ご飯、麦めし、雑穀ご飯。パンならドイツパンのような全粒粉です。白米や精製小麦のパン、麺類は、含まれる食物繊維が少なく、おかずで食物繊維を25グラムとるのは大変難しいからです。冷凍食品でもOKです。使いやすいので、冷凍の野菜や豆を入れた献立もいいですね。
