<ヤマトよ永遠に REBEL3199>宮川彬良×兼松衆インタビュー(2) 「宇宙戦艦ヤマト」の“歌心” 半世紀以上残る音楽
-ーこれまでの「宇宙戦艦ヤマト」の音楽や譜面に触れて感じたことは?
兼松さん メロディーなんですよね。全てにメロディーがあって、全て歌えるんです。
宮川さん 宮川泰は「歌心」と言っていました。僕は、それを理解するまでに時間がかかってしまいました。彼は、1931年生まれだから、中高生くらいの時に戦争を経験しています。終戦後、「リンゴの唄」が大流行しました。マイナー調の曲だけど、明るく感じた。戦争が終わり、自由になって。マイナーのメロディーが甘く輝かしく聴こえたんです。そこにヒントがあると思っています。僕が20歳そこそこの時、父に「なんで歌心がないんだ」と言われた。厳しいこと言うな……と思ったけど、父には僕が平和ボケしているように見えたのかもしれない。
--世の中には、歌心がない劇伴も多い?
宮川さん 今は歌心が少なくなっている傾向にあるかもしれません。
兼松さん 僕は、仕事のことはさておき、メロディーにしか興味がないんです。メロディーがなくて格好いいものももちろんあるのですが、やっぱりメロディーなんです。こんなにメロディーを書いていいんですか!と新鮮でした。
宮川さん 宮川泰は全打席メロディーですから。
--だから音楽が残っているのかもしれません。
宮川さん 何が残るか分からないけど、1974年に作られたものが、半世紀残っています。いろいろな意味でエポックメーキングだったんでしょうね。
-ーそれが兼松さんに継承されていく。
兼松さん 重荷ですかね(笑い)。
宮川さん 時として立場が変わるものですから。僕だって若手だったんだから(笑い)。
--「ヤマト3199」は全七章です。
宮川さん まだ一山ありますよね。二山かな? ここまで豪華にオーケストラで収録するアニメはなかなかないですよね。バイオリンだけで14人ですから。弦楽器は30人。
兼松さん 多いですよね。全員が同じスタジオで演奏しますし。
「宇宙戦艦ヤマト」の音楽は、宮川さんから兼松さんに継承される。互いが刺激を受け、「ヤマト3199」はまた新しい音楽を響かせているようだ。