タイのスラムを拠点に子どもたちの教育を支援 八木沢克昌さん死去
タイのスラムを拠点に貧困家庭の教育支援などに尽力した、公益社団法人「シャンティ国際ボランティア会(SVA)」理事の八木沢克昌さんが死去した。66歳だった。40年以上にわたり、貧困や差別に苦しむ子どもらに寄り添い続けた。 【写真】シャンティ国際ボランティア会などが支援したウマさん一家と、写真に納まる八木沢克昌さん(左端)=2023年11月13日、バンコク、大部俊哉撮影 7日朝、タイの首都バンコクの自宅で倒れているのが発見され、病死と確認された。 1980年代からSVAのタイ、ラオス、カンボジアの各事務所所長や、ミャンマー難民事務所長などを歴任。子ども図書館の運営や、貧困家庭や少数民族への教育支援などに取り組み、2006年に外務大臣表彰を受けた。 急速に経済成長を遂げた東南アジアの国々。その陰で貧富の格差が深刻化してきた。タイには周辺国での暴力や差別から逃れてきて、低賃金での過酷な生活を強いられている移民労働者も多い。経済格差は教育機会にも格差を生み、経済的な理由で進学を諦める子どもは少なくない。 八木沢さんは長くバンコクのクロントイ・スラムに住み、日本、世界へと、こうした問題意識を発信した。 日本から来た学生や記者らにスラムを案内するツアーでは案内役を務めた。執筆活動にも励み、朝日新聞GLOBE+で手がけた連載は18~20年で12回に上った。
朝日新聞社