マカオ返還25年式典で習近平氏「国家主権と安全を最優先」親中派行政長官就任式にも出席
【台北=西見由章】マカオがポルトガルから返還されて25年となった20日、中国の習近平国家主席はマカオで開かれた記念式典で演説し、香港とマカオに高度な自治を保障した「一国二制度」について「一国」が根本だとした上で「国家(中国)の主権と安全、発展の利益を何よりも優先する」との立場を示し、中央政府の全面的な統治権を確立すると強調した。国営新華社通信が伝えた。 習政権は2020年6月に香港国家安全維持法(国安法)を施行した香港と同様、マカオへの統制も強化している。今後は中国共産党の意向に沿った政策が一層強まり、本土との一体化が進みそうだ。 ただ、習氏は演説で、一国二制度についても「強国建設と民族の偉大な復興という偉業に奉仕する良い制度だ」と述べ、長期的に堅持しなければならないと主張した。 マカオではこの日、10月の行政長官選挙で当選した親中派のマカオ終審法院(最高裁)前長官、岑浩輝(しん・こうき)氏の就任式も行われた。習氏は新政府に対して「経済の適度に多元的な発展」を推進するよう要求した。コロナ禍前は歳入の8割をカジノ収入が占めており、カジノ依存からの脱却を求めたとみられる。 岑氏は返還後4人目の行政長官で、初の中国本土出身者となる。任期は5年。