安全運転に努めた石破外交、着席したまま握手など「不慣れ」も露呈…南米訪問から帰国の途に
【リオデジャネイロ=太田晶久】石破首相は19日(日本時間20日)、本格的な外交デビューとなったペルー・ブラジル訪問を終え、帰国の途に就いた。岸田内閣の路線継承で安全運転に努めたが、外交儀礼を欠く振る舞いで経験不足を露呈する場面も見られた。米国のトランプ次期大統領との関係構築など、首相にとっては今後も試練が続きそうだ。 【図解】外交デビューした石破首相、初舞台の成果
首相は19日、ブラジル・リオデジャネイロで開いた内外記者会見で外遊の成果をこう強調した。
ペルーでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせたバイデン米大統領との初会談では、岸田内閣が進めた日米同盟の強化や日米韓の連携に引き続き取り組む方針で一致。中国の習近平(シージンピン)国家主席とも初会談し、岸田前首相が昨年11月に確認した「戦略的互恵関係」の構築を改めて打ち出した。
長期政権で各国を飛び回った安倍晋三元首相や、外相を4年超務めた岸田氏と比べ、石破首相は外交経験がほとんどない。外遊中は事前に練った答弁内容を手堅く守り、アジア版NATO(北大西洋条約機構)構想など持論は封印した。
波紋
それでも、国際舞台に不慣れな姿が随所で見られた。
APEC首脳会議では、会合の合間にあいさつに来たカナダのトルドー首相やマレーシアのアンワル・イブラヒム首相らに対し、着席したまま握手に応じる様子が物議を醸した。
外務省関係者は「本来なら新首相が自分からあいさつして回るべき場面で、事務方がサポートすべきだった」と反省を口にした。
15日の日中首脳会談で、首相が両手で習氏と握手したことも波紋を呼んだ。外交儀礼では、対等な立場を示すために双方右手で握手を交わすのが一般的とされ、政府高官は「選挙戦で有権者と握手する時の癖が出たのだろう」とこぼした。
「対峙しない」
ペルー滞在中には、首相の希望でアルベルト・フジモリ元大統領の墓参が急きょセットされ、各国首脳との記念撮影に間に合わなくなる一幕もあった。