愛車遍歴は30台、ハマったキッカケは中古のBMW3 E36。調理師が車業界で名を馳せるまで【前編】
特に関西にはほとんどなかったんです。雑誌に載っている有名ショップなんて、たいてい関東のお店でした。
それでも一度、手に入れたE36をカスタムしようと、関西の某有名輸入車ショップを訪れたことがあるんです。ドアを開けたら、ズラっと常連さんが座っているような。僕の車を見て「なんやこのノーマル車」と言っているような。店長も「で、ボクちゃんはいくら持ってきたのかな?」みたいな顔をして(笑)。 欲しいパーツを買おうとしても「こっちのほうがいいよ」とか、自由に選ばせてくれないので、結局そのショップでは何も買わずに出てきました。
そういう時代に、E36の320iセダンを、雑誌を見ながら少しずつカスタムしてたんです。
E36のあとに買ったのがE46のM(3シリーズセダンのMモデル)でした。たまたまヤフオク!を見てたら、マニュアルのM3が売りに出ていて。しかも出品者はうちから近い。ちょっと1回見てみようかな、なんて見にいったら最後ですよね、車って。もうどうしても欲しくなって。でも当時は現金でM3を買うお金なんてなくて。 とにかく頭を下げまくったら、店主はボクの熱意に負けたのか、「現金2回払い」という前代未聞の支払い方法を承諾してくれたんです。ローンじゃないですよ。親父にも頭を下げて頼み込んで現金を借りて、他は一所懸命働いて稼いで、何とか「現金2回払い」で手に入れることができました。 振り返ると、これがターニングポイントでしたね。 手に入れてから、やっぱりホイールを替えたり、いろいろイジったりしていたら、たまたま知り合ったホイールショップの人から「東京のカスタムカーのショーに出展してみないか」と誘ってくれたんです。
で、モーターショーに出てみたら、その日から世界が突然変わりました。 今までは写真を撮る側だったのが、いろんな人が自分の車にカメラを向けて僕の車の写真を撮ってるんですよ。 雑誌も何誌も取材してくれて。そんな経験あるわけないじゃないですか。クセになっちゃって(笑)。それが今に繋がってます。 BMWは好きでしたね。メーカーが言うとおり“駆け抜ける歓び”がSUVでもあって。E46はこれまで3台乗ってます。ほかにもZ4とかX5とか、E92のクーペとか……。Z4の時はどうしてもガルウイングドアの車に乗りたくて、当時持っていたZ4にドイツのLSDと言う専用キットを取り付けてガルウイングに改造したんですよ。 そしたらカスタムカーショーで「なんでZ4をガルウイングにしたんだ」とか「こんなのZ4じゃない」とか「これは格好良い!」とか、賛否両論、とにかく色々なことをいってもらえました。雑誌にも自分のインタビュー記事が掲載されて、Z4のガルウイングについて語っている自分が写真とともに載っているんです。 カスタムカーショーに出すことで、見ている側から、見られる側になってしまった。夢のような世界だと思います。「で、一体何台乗り換えてきたんだよ」と思われてそうですが、現時点で計30台くらいの車に乗ってきました。 調理師がなぜ今の仕事についたのか、「エスアンドカンパニーって何や?」については次回お話しします。 籠島康弘=文
OCEANS編集部