山口真由さん「完璧でキラキラした人生に見られたかった」30代の葛藤と後悔|VERY
ニューヨーク州弁護士の資格をもち、テレビ番組でコメンテーターとしても活躍する山口真由さん。東京大学での成績は「オール優」、在学中に司法試験合格、卒業後は官僚、弁護士の仕事を経てハーバード・ロー・スクール留学という経歴から「欠点を見つけるのが難しいほどの完璧な女性」というイメージをもっている人も多いはず。しかし、30代の頃は仕事や恋愛で挫折続き。理想の自分とのギャップに悩むことが多かったそう。試行錯誤した当時の話を伺いました。
「実はできないことだらけ」そんな自分に気づかれたくなくて……
──30代は、山口さんの人生の中でどのような時期でしたか。 私は大学卒業までまさに王道ともいえる道を歩んできて、自分のことを恥ずかしながら「満点の人間」だと思っていたんです。確かに学校の勉強は得意でした。しかし、社会に出た途端、そんな自負とは裏腹に「仕事ができない人間」であることをまざまざと突きつけられました。 20代後半で財務省から弁護士事務所に転職し、32歳で退職、そして留学と、20代から30代にかけては人生の転機がいくつもあって、その度に苦しんだ記憶があります。ただアメリカに留学していたころの現地で多くの人が困難や失敗をすべて「挑戦」と言い換えているのが素敵だなと思って、私も、困難続きだった30代を「チャレンジの時代」と言い換えています(笑)。 これは私が当時勝手に思っていたことですけれど、「家族にも愛されていて勉強もできてキラキラな私」でいないといけないと信じていました。しかし現実は、卒業と同時に入省した財務省ではなかなか芽が出ず、同期の中でも評価は低いまま。ちょっとしたミスも連発し、周囲に助けてもらうことも多かったです。学生時代のような「王道路線」にいられない自分に耐えられず、結局入省2年目で退職しました。 活路を求めその次に就職した弁護士事務所でも徐々に仕事ができないことがバレて、みんなが私のことを哀れみの目で見ているように感じました。事実、だんだんと重要案件を任されることも少なくなっていました。その頃は周囲の目が気になり、毎日仕事が忙しいフリをしていました。スパムメールさえ熟読して時間をつぶしたり、夜になると自席を離れて図書館にこもったり。結果、ついにはほぼクビのような形で退職することに。 そんな状況でも、自分のプライドと現実の折り合いをつけられませんでした。次第に、日本には私の居場所がないと考えるようになりました。だから、留学と当時付き合っていた彼との結婚を言い訳にして、今いるところから逃げようと思ったんです。