マイクロストラテジー、ブラックロックのビットコインETFを3倍以上上回る
2024年1月11日、米国でビットコインETF(上場投資信託)の販売がスタートしたことは、今年、最も重要な金融イベントの1つとなった。Farsideのデータによると、ブラックロック(BlackRock)の「iShares Bitcoin Trust(IBIT)」をはじめとする米国上場のビットコインETFは、販売開始以来、合計で177億ドル(約1兆6700億円、1ドル143円換算)の純流入を集めている。 そしてIBITは、ビットコイン(BTC)の大量保有で知られるマイクロストラテジー(MicroStrategy)のライバル的な存在として浮上している。マイケル・セイラーCEO率いる同社は現在、25万2220ビットコイン、約160億ドル相当を保有している。年初から、マイクロストラテジーの株価は119%上昇。一方、IBITは35%の上昇にとどまっており、3倍以上のパフォーマンスの差が生まれている。
利益確定
ビットコインETFの市場デビューから2月23日頃まで、投資家が資金を新しいファンドに移したり、1月11日(ビットコインETFの市場デビューの日)以前の数週間にマイクロストラテジーの株価が大幅に上昇したことで利益確定をしていたため、IBITはマイクロストラテジーの株価を上回るパフォーマンスを見せた。 利益確定の傾向はビットコインのデータにも現れている。Glassnodeによると、長期保有者(155日以上ビットコインを保有している人)は、2023年12月~2024年第1四半期(1-3月期)にかけて、およそ100万ビットコインを売却した。
マイクロストラテジー vs ブラックロックのビットコインETF「IBIT」
マイクロストラテジーの素晴らしいリターンには、複数の大きな要因がある。その1つは手数料だ。IBITは0.25%の手数料がかかり、これがリターンを圧迫する。一方、マイクロストラテジーは株主にそのような手数料を課していないため、長期的にはコスト効率でより魅力的だ。 さらに、マイクロストラテジーは、主にアナリティクス事業を通じて、ビットコイン保有にとどまらない収益を生み出す。この多様性によって同社はフリー・キャッシュフローを生み出すことができ、暗号資産相場の上昇中には株価がアウトパフォームする一方で、下落時にはある程度のクッションとなり得る。 当記事執筆時点では、ビットコインは3月の史上最高値から13%、IBITは14%下落。マイクロストラテジーの株価は15%下落している。 さらにマイクロストラテジーは、社債や株式の発行を通じて、1株当たりのビットコイン保有高を増やせる柔軟性がある。例えば、同社は最近、転換社債の発行額を7億ドルから10億1000万ドルに引き上げ、その収益をビットコインのさらなる取得に充てた。IBITは、投資家からのさらなる資金流入が見込めない限り、こうしたことを直接的に行うことはできない。 Benchmarkのシニア・リサーチアナリスト、マーク・パーマー(Mark Palmer)氏は、マイクロストラテジーの最近の財務戦略は、財務の柔軟性を改善し、他のビットコイン保有銘柄と比較して資本市場へのアクセスをより効率的なものにしていると述べた。 「転換社債の発行などにより、マイクロストラテジーは金利負担が軽減され、担保のないビットコインの保有高が増えたため、以前よりも資本市場へのアクセスに柔軟性が増したといえるだろう」 同氏は、マイクロストラテジーを買い推奨とし、目標株価を215ドルとしている。
マーケティング
マーケティングと認知度という観点では、マイクロストラテジーはGoolgeトレンドでIBITよりも上位にランクインしている。しかし、IBITでのオプション取引を米証券取引委員会(SEC)が承認したことで、最近、この差は狭まりつつある。 開示事項:筆者はマイクロストラテジーの株式を保有している。 |翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部|画像:TradingView|原文:MicroStrategy Outpaces BlackRock's IBIT by Over 3x Year-to-Date
CoinDesk Japan 編集部